痛快・爽快・セロニアス・モンク・トリビュート! 『MONK STUDIES』(以下『モンク・スタディーズ』)で「変態チック」な山中千尋が帰ってきた!
『モンク・スタディーズ』のテーマが,あのセロニアス・モンクなのだから,山中千尋の「変態」も想定内なのだったが,ここまで“狂気のエレピ”を弾かれたら山中千尋に「現代のセロニアス・モンク」の称号を与えないわけにはいかないように思う。
「変態」が「変態」を演奏するのだから,これはもう普通の演奏で終わるわけはないのだけども,山中千尋が真面目に「ザ・セロニアス・モンク」の世界観を掘り下げていく。「前人未到のユニークなアレンジを施しモンクス・ミュージックの核心部」へと迫っていく。
『モンク・スタディーズ』は,完全に山中千尋の音楽している。しかし,これがどこからどう聴いてもセロニアス・モンクっぽい。ここまで雰囲気としてのセロニアス・モンクを味わえて,かつ,ジャズメンの個性を感じさせるアルバムはなかったのではなかろうか?
アルバム・タイトルは『モンク・スタディーズ』。セロニアス・モンクから学ぼうなのか? 学んだなのか? 答えはそのどちらでもないように思う。
【パノニカ】【ミステリオーソ】【イン・ウォークト・バド】【リズマニング】【ルビー,マイ・ディア】【クリス・クロス】【ハッケンサック】を,嬉々として,型にはまらず演奏する姿からは「これぞ,山中千尋の音楽」としての自負,誇りを感じて圧倒されてしまう。
そう。山中千尋の「変態チック」はセロニアス・モンクという大巨匠をも呑み込んで,完全なる“山中千尋・オリジナル”を確立している。
特にそう感じるのが山中千尋のエレピ使い! ローズにしてもシンセにしてもオルガンにしても,この楽曲にはこれしかない!という見事な音色のマッチングである。
基本セロニアス・モンクの楽曲はどれも男っぽい。ブツ切れでゴツゴツした後味が残る。だから女性的なエレピは逃げのように思ったのだが,真実はその逆であって,もの凄い攻撃的なエレピ演奏である。
先に書いた“狂気”を感じるのは,ガンガン叩きつける生ピアノの方ではなくエレピの長押しの方なのである。
減衰音のピアノでは表現できない持続音のエレピの何とも伸びやかなこと! モンクス・ミュージックがエレピの使用で,どこまでもいつまでも広がっていく感覚が最高なのである。
柔らかいエレピで奏でられる朴訥なメロディーが危険度ゼロで狂っている。真面目な前衛ポップスへとモンクス・ミュージックが昇華している。
そんな山中千尋の魅力大爆発の『モンク・スタディーズ』であるが,成功の秘訣は新リズム隊の存在にある。
マーク・ケリーのベース,ディーント二・パークスのドラムという,HIPでHOPな非ジャズの倍音ビートが,天然産のモンクス・ミュージックを席巻していく。
モンクス・ミュージックから,全速力で離れていく瞬間が楽しくてしょうがない! どこまで離れようともマーク・ケリーとディーント二・パークスが山中千尋の快感のツボを突きまくって「変態体質」のアクネを刺激している。
そう。『モンク・スタディーズ』の真実とは「変態」の山中千尋が「変態」のリズム隊と「変態」のセロニアス・モンクを演奏する「2017年版・モンクス・ミュージックの音楽実験」なのだと思う。
管理人の結論。『モンク・スタディーズ』批評。
山中千尋のセロニアス・モンク・トリビュートが『モンク・スタディーズ』の聴き所ではなく,モンクス・ミュージックをネタとして,既存のセロニアス・モンク像を意のままにブチ壊し続ける歓びこそが『モンク・スタディーズ』の聴き所であろう。
もっともっとモンクス・ミュージックを触媒とした山中千尋の「かわゆい顔したド変態」の本性を聴かせてほしいと思う。
PS 「MONK STUDIES-3」は販促用のクリアファイルです。
DISC 1 CD
01. Heartbreak Hill
02. Pannonica
03. Nobody Knows〜Misterioso
04. New Days, New Ways
05. In Walked Bud
06. Rhythm-a-ning
07. Ruby, My Dear
08. Criss Cross
09. Hackensack
10. Abide With Me
DISC 2 DVD
01. Hackensack
02. Criss Cross
03. Rhythm-a-ning
『モンク・スタディーズ』のテーマが,あのセロニアス・モンクなのだから,山中千尋の「変態」も想定内なのだったが,ここまで“狂気のエレピ”を弾かれたら山中千尋に「現代のセロニアス・モンク」の称号を与えないわけにはいかないように思う。
「変態」が「変態」を演奏するのだから,これはもう普通の演奏で終わるわけはないのだけども,山中千尋が真面目に「ザ・セロニアス・モンク」の世界観を掘り下げていく。「前人未到のユニークなアレンジを施しモンクス・ミュージックの核心部」へと迫っていく。
『モンク・スタディーズ』は,完全に山中千尋の音楽している。しかし,これがどこからどう聴いてもセロニアス・モンクっぽい。ここまで雰囲気としてのセロニアス・モンクを味わえて,かつ,ジャズメンの個性を感じさせるアルバムはなかったのではなかろうか?
アルバム・タイトルは『モンク・スタディーズ』。セロニアス・モンクから学ぼうなのか? 学んだなのか? 答えはそのどちらでもないように思う。
【パノニカ】【ミステリオーソ】【イン・ウォークト・バド】【リズマニング】【ルビー,マイ・ディア】【クリス・クロス】【ハッケンサック】を,嬉々として,型にはまらず演奏する姿からは「これぞ,山中千尋の音楽」としての自負,誇りを感じて圧倒されてしまう。
そう。山中千尋の「変態チック」はセロニアス・モンクという大巨匠をも呑み込んで,完全なる“山中千尋・オリジナル”を確立している。
特にそう感じるのが山中千尋のエレピ使い! ローズにしてもシンセにしてもオルガンにしても,この楽曲にはこれしかない!という見事な音色のマッチングである。
基本セロニアス・モンクの楽曲はどれも男っぽい。ブツ切れでゴツゴツした後味が残る。だから女性的なエレピは逃げのように思ったのだが,真実はその逆であって,もの凄い攻撃的なエレピ演奏である。
先に書いた“狂気”を感じるのは,ガンガン叩きつける生ピアノの方ではなくエレピの長押しの方なのである。
減衰音のピアノでは表現できない持続音のエレピの何とも伸びやかなこと! モンクス・ミュージックがエレピの使用で,どこまでもいつまでも広がっていく感覚が最高なのである。
柔らかいエレピで奏でられる朴訥なメロディーが危険度ゼロで狂っている。真面目な前衛ポップスへとモンクス・ミュージックが昇華している。
そんな山中千尋の魅力大爆発の『モンク・スタディーズ』であるが,成功の秘訣は新リズム隊の存在にある。
マーク・ケリーのベース,ディーント二・パークスのドラムという,HIPでHOPな非ジャズの倍音ビートが,天然産のモンクス・ミュージックを席巻していく。
モンクス・ミュージックから,全速力で離れていく瞬間が楽しくてしょうがない! どこまで離れようともマーク・ケリーとディーント二・パークスが山中千尋の快感のツボを突きまくって「変態体質」のアクネを刺激している。
そう。『モンク・スタディーズ』の真実とは「変態」の山中千尋が「変態」のリズム隊と「変態」のセロニアス・モンクを演奏する「2017年版・モンクス・ミュージックの音楽実験」なのだと思う。
管理人の結論。『モンク・スタディーズ』批評。
山中千尋のセロニアス・モンク・トリビュートが『モンク・スタディーズ』の聴き所ではなく,モンクス・ミュージックをネタとして,既存のセロニアス・モンク像を意のままにブチ壊し続ける歓びこそが『モンク・スタディーズ』の聴き所であろう。
もっともっとモンクス・ミュージックを触媒とした山中千尋の「かわゆい顔したド変態」の本性を聴かせてほしいと思う。
PS 「MONK STUDIES-3」は販促用のクリアファイルです。
DISC 1 CD
01. Heartbreak Hill
02. Pannonica
03. Nobody Knows〜Misterioso
04. New Days, New Ways
05. In Walked Bud
06. Rhythm-a-ning
07. Ruby, My Dear
08. Criss Cross
09. Hackensack
10. Abide With Me
DISC 2 DVD
01. Hackensack
02. Criss Cross
03. Rhythm-a-ning
(ブルーノート/BLUE NOTE 2017年発売/UCCQ-9303)
★【初回限定盤】 UHQCD+DVD
★【初回限定盤】 UHQCD+DVD
コメント一覧 (2)
『SYNCOPATION HAZARD』が好きで『GUILTY PLEASURE』は本物のジャズっぽくて近づき難かったので、ちーたんにもセラビーさんにも遠慮気味だったことをお許しください。
でも『MONK STUDIES』で私のテンションも上がりました。確かに狂喜のちーたんしていますね。
ジャズに詳しくない私はセロニアス・モンクも全くの初めてでしたので,どこがモンクっぽいとか関係なしにサイケなピアノ・トリオとして聴きました。ベースとドラム凄いですよね。そのリズムの上で自由に遊んでいるちーたんのわがままな暴れっぷりに、結婚してくれー!と心の中で叫んでいます。
それで一気に興味を持ったセロニアス・モンクのセラビーさんのお勧めを教えていただけたらうれしいです。よろしくお願いいたします。
ももくろに戻っちゃったのかと心配していましたが,ちーたんだけでもジャズを聴いておられてうれしいです。またライブ行きましょう。
さて『MONK STUDIES』。確かにモンクはネタ元だけでして,モンクおじさんの名曲がちーたんのものと化しております。個人的には最先端のジャズを聴かされた気がして清々しいアルバムだと思っています。もう10回以上リピートしましたが全然飽きません。ローズでの演奏が素晴らしいです。
セロニアス・モンクはアルバム単位でのお奨めというよりも楽曲で選んだ方がいいように思います。多分,最初は違和感と言うか高い壁というか,普通とは二味は違うジャズに困惑されるかもです。
『MONK STUDIES』の中で気になる楽曲が入ったアルバムから聴き比べてみるのは如何でしょうか?
この答えに満足されないのでしたら,私の一押しは『THELONIOUS MONK TRIO』なのです。死ぬ前に一度は聴いてみてください。人生が豊かになります!