GETTIN' AROUND-1 『GETTIN’ AROUND』(以下『ゲッティン・アラウンド』)は名盤である。
 ただし,デクスター・ゴードン名義の名盤というわけではない。ジャズに崇高なアドリブ芸術など求めない,純粋に「リラックスして楽しむのがジャズ」と考える音楽ファンに打ってつけの名盤である。

 そう。『ゲッティン・アラウンド』には,気だるさというか,妙にフレンチっぽいというか『OUR MAN IN PARIS』以上に,ヨーロピアンな“洒落っ気”が感じられる。
 肩の力の抜けた“滋味溢れる”名演の心地良さが『ゲッティン・アラウンド』の中に詰まっている。

 ズバリ『ゲッティン・アラウンド』の「アンニュイ」の秘密は,ボビー・ハッチャーソンのお洒落なヴィブラフォンにある。
 ボビー・ハッチャーソンヴィブラフォンが,デクスター・ゴードンの「黒さ,重さ,野太さ,男気」の個性に風穴を空けている。爽やかなそよ風を吹き込んでいる。この“軽やかさ”も間違いなくジャズの魅力の醍醐味に違いない。

 ややもすればデクスター・ゴードンテナーサックスは押し付けがましくて,ぶっきらぼうなとこらがあるのだが『ゲッティン・アラウンド』では,いつになく陽気で翳りのないデクスター・ゴードンの“アンサンブル”に心躍るものがある。

 ボビー・ハッチャーソンヴィブラフォンが“開けっ広げ”なデクスター・ゴードンの丁寧なアドリブの間を取っていく。
 ヴィブラフォン特有の持続音が,感情の高まりを落ち着かせ,緩やかな演奏の波に乗せてくれる。デックスの雰囲気を“そっと”運んでくれる。

 デクスター・ゴードンが“朗々と”歌っている。ただそれだけで気だるさを超えた「忘我の境地」に入ってしまう。聴けば聴くほど“味わい”があり,くつろいだ空気感にいつでも身を置くことができる。
 そう。『ゲッティン・アラウンド』の音像とは,アルバム・ジャケットに写っているデックスの“ニヤケ顔”そのもの! 初夏の柔らかな風を受けた休日のサイクリングそのもの!

GETTIN' AROUND-2 “鼻歌を歌いながら”サイクリングにいそしむデックスという「大男」が最高にチャーミング! 管理人にとって『ゲッティン・アラウンド』とは,のどかでほのぼのとした田舎での休日で“乗り回す”サイクリングのBGM!

 気だるいことが気持ちいいと感じられるジャズ名盤群。その最右翼の1枚が『ゲッティン・アラウンド』なのである。

  01. MANHA DE CARNAVAL
  02. WHO CAN I TURN TO
  03. HEARTACHES
  04. SHINY STOCKINGS
  05. EVERYBODY'S SOMEBODY'S FOOL
  06. LE COIFFEUR

(ブルーノート/BLUE NOTE 1966年発売/TOCJ-6679)
(ライナーノーツ/アイラ・ギトラー,岡崎正通)

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