M'S 2ND-1 ピアノ佐山雅弘ベース小井政都志ドラム大坂昌彦による佐山雅弘トリオ=通称“マサちゃんズ”の演奏するジャズスタンダードには,若輩者には弾くことのできない,オヤジならではのコクとか深みとか渋みとかが,年季を感じさせる,王道スタンダードであった。

 何ら難しいことをやってはいないが,オヤジ集団ならではの「経験値の高さ」からきているのだろう。ギリギリの奇抜なアレンジが仕掛けられているのだが,よくよく聴くと,無駄な贅肉は「お腹周りだけ」がポリシー?なシンプルでスタイリッシュでツボを突いた名演集。

 ただし,1stの『FLOATIN’ TIME』に大熱狂してしまった身からすると,2nd『M’s 2nd』には,少々の物足りなさを感じたのも事実。
 マサちゃんズが急に年取ったというか,お洒落に気をつけなくなったというか,実年齢を感じてしまったというか…。遊びが減って本格派の濃度が上がっているというか…。

 『M’s 2nd』で感じた「平均律」の秘密は,3人のマサちゃんズ全員が「オールラウンダー」の為せる技。インタープレイが書き譜のように聴こえてしまう“佐山マジック”大炸裂〜。

M'S 2ND-1 『M’s 2nd』は,一捻りではなく二捻りして一周しているから?奇を衒った感じがしない…。
 いつ聴いても色褪せない「成熟した大人テイスト」の王道スタンダードの図抜けた表現力…。
 流石はジャズスタンダードを演奏するために結成された「フィーチャリング佐山雅弘」のスーパー・ユニットだけのことはある。

 NO! マサちゃんズとは,3人が3人とも同じ音楽性を持つ「自然発生的」に結成されたピアノ・トリオ。音楽的な趣味が合い,目指す方向性を話さずとも分かり合えてしまう。だから演奏がリラックスしたまま展開し,深い部分にまで到達できるのであろう…。

 そう。ピアニストベーシストドラマーのファースト・ネームに,3人とも「MASA」がついた「M’s」は「偶然」であるが,音楽的には「M’s」の結成は「必然」なのである。

 マサちゃんズが売れずして,J−ジャズどうする?

  01. BLUE IN GREEN
  02. AUTUMN LEAVES
  03. WISH YOU
  04. EXTENDED PLAY
  05. DON'T LET ME DOWN
  06. MY FAVORITE THINGS
  07. SMOKE GETS IN YOUR EYES
  08. SOLAR
  09. IN THE DARK, BEFORE DARK
  10. LITTLE GIRL BLUE
  11. A FINE ROMANCE〜THE WAY YOU LOOK TONIGHT
  12. QUIET MOON

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(ライナーノーツ/和田誠)

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