FOUR COLORS-1 もはや「カシオペアの元メンバー」の枕詞など必要としない“世界のスーパー・ドラマー神保彰
 なんたって神保彰は2007年「ニューズウィーク」誌選定「世界が尊敬する日本人100人」の1人なのである。

 「世界が尊敬する日本人100人」の選出理由は,ワンマン・オーケストラを可能にする“テクニカルな世界的ドラマー”としての神保彰なのであろうが,管理人としてはもう1つ,ポップな世界的メロディー・メイカーとしての神保彰の裏理由を加えてほしいと思っている。

 神保彰の“最高傑作”『FOUR COLORS』(以下『フォー・カラーズ』)を聴いてみてほしい。こんなにメロディアスなアルバムが「ドラマーソロ・アルバム」とはにわかに信じられないと思うから…。

 『フォー・カラーズ』は,神保彰ドラムエイブラハム・ラボリエルベースオトマロ・ルイーズピアノフランク・ギャンバレギターによる,基本一発録りのスタジオ・ライブ

 冒頭の【FOUR COLORS】からして,いきなり“人力ドラムンベース”による超絶16ビートで殴りこみをかけといて,あっけにとられる間もなく高速4ビート〜レゲエへのリズムの転調の波の上で繰り広げられる“超絶技巧のインタープレイ”による,叩きまくり&弾きまくりのアグレッシヴフュージョン

 ただし,ド派手な演奏は【FOUR COLORS】の1トラックのみ。2曲目以降は心洗われる,爽やかフュージョン寄りのスムーズ・ジャズ
 特に【THE LIGHT】【LANIKAI】のゆったりと雄大なスケールで展開するサビにイマジネーションを掻き立てられてしまう。

 この「振り幅の大きさ」こそが神保彰の個性である。「ハードなドラムとソフトなメロディーの2面性」が神保彰の個性を形作っていく。
 従来の神保彰はアルバムのコンセプトに沿って,ハード路線とソフト路線のどちらか一方の面に強く振れていることが多かった。
 しか〜し,ついに神保彰の内にある「超絶ドラムスムーズ・ジャズ」という「水と油」=「ハードとソフト」の両面が高次元で共存するアルバム『フォー・カラーズ』が完成したのだ。

フォー・カラーズ』における「ハードとソフト」共存の秘訣は,ドラマー特有の色を消し去った,徹底的なメロディー重視!
 J−POPというかニュー・ミュージックのカヴァー曲と言い切っても通用してしまいそうなコード進行とメロディー・ラインの流れがお見事。そんな刺激的でカラフルで,それでいて鼻歌でメロディーを歌いたくなるキャッチーな美メロを,究極のインタープレイで,ギュッと凝縮パッケージング!

FOUR COLORS-2 『フォー・カラーズ』での神保彰は,所謂「ドラマーソロ・アルバム」的なイメージを打ち破っている。スムーズすぎず,小難しすぎず,心地よくも刺激的で,書き譜を超えた“瑞々しくもアコースティックな”フュージョン・ミュージック。

 一方で純粋に「並みのドラマーでは叩くことのできない“テクニカルな世界的ドラマー”としての神保彰も混在していて,ハイハット・ワーク,スネアの一音一音に神保彰特有のドラムの“息吹”が感じられ,神保彰のハイパーなドラムだけを追いかけても十二分に楽しめる。

 そう。『フォー・カラーズ』で,ハード路線一辺倒,あるいはソフト路線一辺倒だった,神保彰自身のイメージさえも打ち破る“ハイブリッドな”神保彰が誕生している。

 ウホホッ,神保彰パット・メセニーしてくれてるじゃん! 『WATERCOLORS』なのがパット・メセニー! 『FOUR COLORS』なのが神保彰! 『FULL COLORS』なのがカシオペア

  01. Four Colors
  02. The Light
  03. Epoca Del Sol
  04. Brisa Primaveral
  05. Diamond
  06. Lanikai
  07. Co Co Ro
  08. Phantasia
  09. Banana Boat
  10. Come Shine

(キングレコード/KING RECORD 2007年発売/KICJ-518)
(ライナーノーツ/富田雅之)

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