この記事は「スーパートリビア」の「グラミー賞 ジャズ部門」との連動記事です。

 「スーパートリビア」の記事で記したように,CD購入済の「グラミー・受賞作」(または「グラミー・ノミネート作」)の“お祝いレビュー”(あるいは“残念レビュー”)をUPいたします。
 それで読者の皆さん,お断り&再確認しておきますが,レビューするのは既に所有済のCDだけですから〜。追加購入はしませんから〜。

 なお,現在「アドリブログ」の「JAZZ/FUSION CD批評」では“1アーティスト1枚縛り”で絶賛レビュー中ですが「グラミー受賞・ノミネート」は“1アーティスト1枚縛り”ノーカウントといたします。
 こうなるとパット・メセニーとかチック・コリアとかマイケル・ブレッカーとかのレビュー数が突出する? まぁ,いずれは所有CDを全枚レビューすることになるので,早いか遅いか,の違いだけ!? なお,この連動記事は特別企画ゆえにトラック批評もノーカウントといたします。
 


Category 48 - Best Jazz Instrumental Album, Individual or Group ; The New Crystal SilenceChick Corea & Gary Burton

 
THE NEW CRYSTAL SILENCE-1 チック・コリアゲイリー・バートンによる『THE NEW CRYSTAL SILENCE』(以下『ニュー・クリスタル・サイレンス』)なる2枚組のライブ盤が発売される。このリリース情報を目にした瞬間,ココロ・トキメイテシマッタ!

 世紀の大名盤CRYSTAL SILENCE』のリリース後も,チック・コリアゲイリー・バートンによる“ジャズの伝統芸能”は『DUET』『IN CONCERT,ZURICH,OCTOBER 28,1979』『NATIVE SENSE』と続いたわけだが,ニュー・アルバムの発売の度に誰しもが思い浮かべたであろう『ニュー・クリスタル・サイレンス』のアルバム・タイトルは封印され続けてきた。
 そのどれもが『ニュー・クリスタル・サイレンス』を名乗ってもおかしくない素晴らしい内容であったのに…。

 そう。『ニュー・クリスタル・サイレンス』なるアルバム・タイトルは,チック・コリア名義であっても,ゲイリー・バートン名義であっても,そう簡単にネーミングできない,ジャズ界の“永久欠番”!
 そんなジャズ界の“永久欠番”『ニュー・クリスタル・サイレンス』のアルバム・タイトルをついに冠した,チック・コリアゲイリー・バートンの新デュエットCDの登場に,喜び以前の“胸騒ぎ”を感じてしまった。これってセールス至上主義では? なんともゴマ臭い?

 しかし,と言うべきか,やっぱり,と言うべきか…。どんなにハードルが上がろうとも,チック・コリアゲイリー・バートンの名コンビは,その全てのプレッシャーを軽々と乗り越えてくる。
 そう。『ニュー・クリスタル・サイレンス』のアルバム・タイトルは『ニュー・クリスタル・サイレンス』のためのものであった。
 結果として『DUET』『IN CONCERT,ZURICH,OCTOBER 28,1979』『NATIVE SENSE』に『ニュー・クリスタル・サイレンス』のアルバム・タイトルは荷が重かったように思う。

 ジャズ界の“永久欠番”と思われた『ニュー・クリスタル・サイレンス』が,ジャズ界の“新・永久定番”!
 『ニュー・クリスタル・サイレンス』の『THE NEW』の部分は,2枚組ライブ盤&オーケストラとの共演から聴こえてくる,現代ジャズの「温故知新」そのものであった。

 1973年の『クリスタル・サイレンス』1枚と2008年の『ニュー・クリスタル・サイレンス』の2枚の合計3枚組。35年間かけてついに完成した「SILENCE」で「CRYSTAL」なジャズ演奏の最高峰。
 “COOL”な発熱反応はそのままに,成熟というか,円熟というか,枯れた感じを漂わせながらも,じわじわと盛り上がってくる無上の喜び。あ〜,何回聴いても幸せを感じる!

THE NEW CRYSTAL SILENCE-2 CD1でのシドニー交響楽団の荘厳なアンサンブルに負けないチック・コリアゲイリー・バートンの存在感にメ〜ロメロ!
 クラシック調でスタートするが,徐々に音風景がジャズへと変わり,最後には,チック・コリアゲイリー・バートンの音世界,だけが抜きん出て響き渡っている。スペクタクルなオーケストレーションの高揚感が素晴らしい。

 CD2のデュオライブでは,チック・コリアゲイリー・バートンの「十八番」だけではなく,ビル・エヴァンスの【WALTZ FOR DEBBY】やらセロニアス・モンクの【SWEET AND LOVELY】やらジョージ・ガーシュインの【I LOVE YOU POGGY】やらを,チック・コリアゲイリー・バートンの音世界で聴きたいと思っていたファンとしては,その願いがついに叶ってお涙もの〜。

 『ニュー・クリスタル・サイレンス』のハイライトは,CD1とCD2ともに最後に収録されている2つの異なる【LA FIESTA】であろう。
 演奏を重ねれば重ねるほどチック・コリアの手を離れ,有名ジャズスタンダードの貫録を放っているように思う。どちらも素晴らしい大名演である。

 
CD1 Duet with Sydney Symphony
01. Duende
02. Love Castle
03. Brasilia
04. Crystal Silence
05. La Fiesta

CD2 The Duet
01. Bud Powell
02. Waltz for Debby
03. Alegria
04. No Mystery
05. Senor Mouse
06. Sweet and Lovely
07. I Love You Porgy
08. La Fiesta

 
CHICK COREA : Piano
GARY BURTON : Vibraphone

SYDNEY SYMPHONYOrchestra
JONATHAN STOCKHAMMERConductor

(コンコード/CONCORD 2008年発売/UCCO-1043/4)
(デジパック仕様)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/パット・メセニー,ゲイリー・バートン,チック・コリア,小川隆夫)

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