この記事は「スーパートリビア」の「グラミー賞 ジャズ部門」との連動記事です。

 「スーパートリビア」の記事で記したように,CD購入済の「グラミー・受賞作」(または「グラミー・ノミネート作」)の“お祝いレビュー”(あるいは“残念レビュー”)をUPいたします。
 それで読者の皆さん,お断り&再確認しておきますが,レビューするのは既に所有済のCDだけですから〜。追加購入はしませんから〜。

 なお,現在「アドリブログ」の「JAZZ/FUSION CD批評」では“1アーティスト1枚縛り”で絶賛レビュー中ですが「グラミー受賞・ノミネート」は“1アーティスト1枚縛り”ノーカウントといたします。
 こうなるとパット・メセニーとかチック・コリアとかマイケル・ブレッカーとかのレビュー数が突出する? まぁ,いずれは所有CDを全枚レビューすることになるので,早いか遅いか,の違いだけ!? なお,この連動記事は特別企画ゆえにトラック批評もノーカウントといたします。
 


Category 48 - Best Jazz Instrumental Album, Individual or Group ; The Ultimate AdventureChick Corea

 
THE ULTIMATE ADVENTURE-1 キターッ!! チック・コリア久々のコンテンポラリー路線の“大傑作”『THE ULTIMATE ADVENTURE』(以下『アルティメット・アドヴェンチャー』)に“ドハマリ”した。

 「エレクトリック・バンド」解散後の「アコースティックの追求の旅」は,相当なハイ・レベルだった。「オリジン」〜「ニュー・トリオ」の「呆れるほどに完璧な演奏」は,相当に素晴らしかった。だからそれはそれで非常に満足していた。

 ただその一方で,管理人がチック・コリアの音楽に求めているのは,エンターテインメント性である。つまりチック・コリアには,自身の内面を掘り下げるアーティスティックでリリシズムなジャズではなく,外向的で大衆路線のフュージョン系で彩られた「今の音楽」を存分に楽しませてほしいと思う。
 ズバリ,チック・コリアの「ジャズフュージョン」は,一聴して分かりやすいアルバムほど出来が良い。BGMとして聞き流しながら談笑していても,会話がままならなくなるくらいに耳に食い込んでくるパワーが秘められている。

 そんな管理人好みの快作が『アルティメット・アドヴェンチャー』である。管理人が“待ちに待った”チック・コリアフュージョン系の“王道”である。
 『アルティメット・アドヴェンチャー』は,それくらい“ドハマリ”した大名盤であって,個人的には非常に思い入れ深いものがある。

 正直に告白すると『アルティメット・アドヴェンチャー』の熱狂の裏には,過去のアルバム群へ寄せる思いがあってのもの。
 そう。『アルティメット・アドヴェンチャー』の真髄とは“アップデートされた”チック・コリアの“王道”であって,全くの新作の類には数えられない。過去の積み重ねが『アルティメット・アドヴェンチャー』で“花開いた”と表現する方が“しっくりくる”。

 その中でも特に,スティーヴ・ガッドヴィニー・カリウタアイアート・モレイラホッサム・ラムジールベン・ダンタストム・ブレック・ラインの重量級のエレクトリックドラマー陣とオーキシ・フェルナンデスホルヘ・パルドカルレス・ベナベンドパコ・デ・ルシア所縁のスペイン勢と来れば“チック・コリアの1枚”として推し続けている『タッチストーン』に『アルティメット・アドヴェンチャー』の原型を見るというものだ。

 う〜む。聴けば聴くほど『アルティメット・アドヴェンチャー』は『タッチストーン』の“アップデート盤”だと思えてくる。一度『アルティメット・アドヴェンチャー』=『タッチストーン』の法則が刷り込まれたが最期。
 『タッチストーン』を「70年代チック・コリアソロ名義の最重要盤」とする管理人としては,あたかも王家の後ろ盾を得たかのようでうれしくなってしまうのだ〜。

THE ULTIMATE ADVENTURE-2 『アルティメット・アドヴェンチャー』とは「L・ロン・ハバードのSF小説にインスパイアされたコンセプト・アルバム」であるのだが,チック・コリアの他のL・ロン・ハバード絡みのアルバムの中では,最もL・ロン・ハバードの手から遠く離れた,チック・コリア自身の「音楽組曲」の印象が強い。

 そう。L・ロン・ハバードからインスパイアを受けたアイディアが,チック・コリア本来の音楽性と絶妙に重なり,大きな山場が続く「音楽組曲」な展開こそが『アルティメット・アドヴェンチャー』(「究極の冒険」の意)。これぞチック・コリアの「究極の冒険」である。

 チック・コリアの“エレクトリックピアノの大山”は世界一であるのだが,最新のテクノロジーをこれ見よがしに盛り込むのではなく,フレーズと曲の雰囲気にあわせた実に音楽的な使い方をしている。

 その意味で,愛聴盤とは少し意味合いが異なるのだが『アルティメット・アドヴェンチャー』を『タッチストーン』と並ぶ「重要度の高いソロ名義」の1枚に指名する。
 エレクトリックパーカッションに“ドハマリ”した時のチック・コリアが,世界一のエレクトリックピアニスト

 
01. Three Ghouls - Part 1
02. Three Ghouls - Part 2
03. Three Ghouls - Part 3
04. City Of Brass
05. Queen Tedmur
06. El Stephen - Part 1
07. El Stephen - Part 2
08. King & Queen
09. Moseb The Executioner - Part 1
10. Moseb The Executioner - Part 2
11. Moseb The Executioner - Part 3
12. North Africa
13. Flight From Karoof - Part 1
14. Flight From Karoof - Part 2
15. Planes Of Existence - Part 1
16. Arabian Nights - Part 1
17. Arabian Nights - Part 2
18. Gods & Devils
19. Planes Of Existence - Part 2
20. Captain Marvel

 
CHICK COREA : Piano, Rhodes, Keyboards, Electronic Percussion, Electronic Instruments, Palmas
STEVE GADD : Drums, Palmas
VINNIE COLAIUTA : Drums
TOM BRECHTLEIN : Drums, Palmas
AIRTO MOREIRA : Drums, Percussion, Shaker, Bell
RUBEM DANTAS : Percussion, Cuica, Surdo, Pandero(Tambourine), Palmas
HOSSAM RAMZY : Percussion
CARLES BENAVENT : Bass, Palmas
FRANK GAMBALE : Acoustic Guitar
HUBERT LAWS : Flute
JORGE PARDO : Tenor Saxophone, Flute, Palmas
STEVE KUJALA : Flute
TIM GARLAND : Tenor Saxophone, Bass Clarinet

(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 2006年発売/UCCJ-3015)
(ライナーノーツ/チック・コリア,小川隆夫)

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ソロモンの歌6章 私はいとしいあの人のもの,あの人は私のもの
ロン・カーター 『ディア・マイルス