CHICK COREA AND ORIGIN-1 「エレクトリック・バンド」を解散して以来,ソロ活動に専念してきたチック・コリアがついに新しい自己のレギュラー・グループを結成した。

 その名は「チック・コリア & オリジン」! メンバーはピアノチック・コリアベースアヴィシャイ・コーエンドラムアダム・クルーズトロンボーンスティーヴ・デイビスサックスフルートボブ・シェパードサックスフルートスティーヴ・ウィルソンセクステットであった。

 チック・コリア以外の5人は全員無名。しかしそんなの関係ない。「チック・コリア & オリジン」のデビュー盤『CHICK COREA AND ORIGIN』(以下『チック・コリア & オリジン』)を聴いて,一発で「オリジン」の「とりこ」になってしまった。
 いや〜っ,いきなりのスーパー・グループの誕生である。世界TOPのジャズ・コンボの登場なのである。

 アヴィシャイ・コーエンの本当の凄さは後になって身に染みて来たのだが『チック・コリア & オリジン』の発売時点でも相当に凄いベーシストだった。印象としてはデイヴ・ホランドとかチャーリー・ヘイデンを想起してしまった。
 つまりベーシストとしても超強烈な個性が聴こえて来るのだが,それ以上に全体のサウンドに感化与えるベース・ラインの動きが素晴らしい。セクステットのアンサンブルをベース・ラインで指揮している。曲全体に“変幻自在な”編曲を施している。

 そんな「色彩豊かなベース」を手に入れたチック・コリアが「オリジン」の音楽監督の座をアヴィシャイ・コーエンに委ねている。
 「オリジン」とはアヴィシャイ・コーエン発信の“チャールス・ミンガスばりの”アイディアをフロントの3管が手足となって実践するジャズ・コンボであり,チック・コリア自身は“バンドの凄腕ピアニスト”として,それは硬派で緊張感のあるジャズ・ピアノを弾きまくっている。

CHICK COREA AND ORIGIN-2 ズバリ「オリジン」のサウンドは,日本で言えば“漆塗り”のジャズである。
 表面的に見えるもの,聴こえてくるものは,チック・コリアど真ん中なジャズ・コンボなのだが,よ〜く聴き込んでいくと,こんなところまで手が入っていたのか,と思わせる職人の技を発見する瞬間で満ちている。
 うかつにも「オリジン」の職人技に気付いてしまったが最後,残すは「のめり込む」しか道はなくなる。

 そ・う・し・て・驚愕するのが,ここまで手の込んだ音楽にして,これが「オリジン」の試験的なギグだったという衝撃の事実。次元が違いすぎる。ほぼリハーサル的な演奏にしてこの完成度と知った瞬間に腰が抜けてしまうのでご注意を!

 聴き込むにつれ,奥深い味がどんどん染み出してくる! 『チック・コリア & オリジン』は,発売から17年経過しているとはいえ,今の耳で聴いても古くは感じないし,今後も決して古くは感じないアルバムだと思っている。
 やり尽くされたはずのアコースティックジャズ表現に“襟を正して”取り組んだチック・コリアに深い敬意を表したい。

  01. Say It Again (Part 1)
  02. Say It Again (Part 2)
  03. Double Image
  04. Dreamless
  05. Molecules
  06. Soul Mates
  07. It Could Happen To You
  08. Sifu

(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 1998年発売/MVCL-24008)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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