MUSICMAGIC-1 リターン・トゥ・フォーエヴァーチック・コリアスタンリー・クラークの「双頭バンド」で間違いない。

 ただし,リターン・トゥ・フォーエヴァーチック・コリアスタンリー・クラークの「双頭バンド」になったのは「拡大版」と称される「第3期」リターン・トゥ・フォーエヴァーになってのことである。

 「第1期」「第2期」はチック・コリアのワンマン・バンドか,あるいはメンバー全員の意見を採り入れる民主的な共同運営のどちらかであって,チック・コリアスタンリー・クラークの“双頭バンドの蜜月”は「第3期」になってからなのである。

 管理人がそう強く思うようになったのは「第3期」リターン・トゥ・フォーエヴァーにメンバーとして参加したチック・コリアの実の奥様=ゲイル・モランの存在である。ゲイル・モランは素晴らしいミュージシャンである。音楽的にもチック・コリアの片腕になって然るべきであろう。
 しかし,チック・コリアという人は「第3期」リターン・トゥ・フォーエヴァーでは,音楽的パートナーとしてゲイル・モランではなくスタンリー・クラークを選んでいる。

 『MUSICMAGIC』(以下『ミュージックマジック』)は,総勢9名の「拡大版」リターン・トゥ・フォーエヴァー唯一のスタジオ録音。ゆえに“鉄壁のアンサンブル”が際立つ名盤である。
 音楽的なハマリ具合が“お見事”すぎて,雰囲気としては“ビッグ・バンド寄り”を通り越し“日本の昭和歌謡”のように聞こえてしまう。基本,全曲が「歌もの」であり,ロマンティック路線の大衆向けで万人向けな文句なしのメロディー・ライン。一言で表わせば“売れ線”である。

 だ・か・ら・最初は“売れ線”の『ミュージックマジック』が嫌いだった。やっぱりチック・コリアは“イロモノ”だと思った。
 しかし『ミュージックマジック』を繰り返し聴き込むうちに“鉄壁のアンサンブル”&“売れ線”の陰に隠れていた「拡大版」リターン・トゥ・フォーエヴァーの真の姿が見えてきた。

 「第3期」リターン・トゥ・フォーエヴァーは「1期」「2期」よりも大編成なコンボでありながら,実質的には「1期」「2期」よりも小編成なコンボである。
 9人編成でありながら,チック・コリアスタンリー・クラークを除く7人にクリエイティブな演奏は求められていない。求められているのはチック・コリアスタンリー・クラークインタープレイを「邪魔せずお膳立てしながら刺激する」こと。まっ,これはこれで相当な難題であったことでしょうけど…。

MUSICMAGIC-2 だ・か・ら『ミュージックマジック』! チック・コリアスタンリー・クラークインタープレイの“蜜月”が花開くようにと,知恵を絞ってアレンジした“音楽の魔法のレシピ”!

 ねっ,「拡大版」リターン・トゥ・フォーエヴァーは軽いでしょう? 軽く聞こえるようにブラス隊にタイトに吹かせている。
 ブラス隊の彩りがチック・コリアシンセの一部のようでしょ? ブラス隊が煌びやかに聞こえるようにキレを重視している。一糸乱れぬユニゾンを多用している。
 この土台の上で,チック・コリアスタンリー・クラークが“売れ線”の「歌もの」で花開くインタープレイ

 ズバリ『ミュージックマジック』の聴き所は,有機的に連動するチック・コリアスタンリー・クラークだけの音像のイメージ!
 2人だけの抽象的な音像ゆえに,他の7人のメンバーも(勿論,私たちリスナーも)中々掴めそうで掴めやしない! ジャケットのイラストに描かれているように,海のものとも山のものともつかない音像のイメージが飛び出してくる!

 廻り回って“日本の昭和歌謡”のように聞こえてしまうかもですよ? いや〜,奥深い! 『ミュージックマジック』は奥深い!

  01. The Musician
  02. Hello Again
  03. Musicmagic
  04. So Long Mickey Mouse
  05. Do You Ever
  06. The Endless Night

(ソニー/SONY 1977年発売/SRCS 7044)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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