DAY IS DONE-1 ビル・エヴァンスキース・ジャレットミシェル・ペトルチアーニブラッド・メルドーの流れは真実。しかし,この系譜の流れにおいて,ブラッド・メルドーだけが異端である。

 管理人はジャズ入門者へ,ビル・エヴァンスキース・ジャレットミシェル・ペトルチアーニは聴かせるが,ブラッド・メルドーを聴かせたいとは思わない。
 なぜならブラッド・メルドージャズ上級者向けのピアニストだからである。ブラッド・メルドーを楽しむにはジャズへの造詣が求められる。知識なしに何も考えずに音だけ聴いて楽しめるピアニストではない。

 そう思っていた。『DAY IS DONE』(以下『デイ・イズ・ダン』)を聴くまでは…。

DAY IS DONE-2 ついにブラッド・メルドーが“お楽しみ盤”を放った。それが『デイ・イズ・ダン』! 楽しい。何も考えずに楽しめる。これならジャズ入門者にも心置きなくお奨めできる。
 いいや「耳をかっぽじって聴け!」級の名盤である。

 『デイ・イズ・ダン』はブラッド・メルドーにいつもは感じる,取っ付き難さなどない。“超・天才”としての壁が取っ払われている。
 ズバリ『デイ・イズ・ダン』におけるブラッド・メルドーは“ジャズ・ピアニスト”ではなく“エンターテイナー”である。

 『デイ・イズ・ダン』を一聴した時,ブラッド・メルドーが「一歩も二歩も前に出てきた印象」を受けた。以前のブラッド・メルドーの特徴であった,耽美主義的な抑制とか内省とかの“内へ内へ”と向かうベクトルが“外へ外へ”と向かっている。場の空気がガラッと変わっている。

DAY IS DONE-3 そう。ブラッド・メルドーが『デイ・イズ・ダン』で録音したのは「新時代のジャズ」。これぞジャズ“その先”への試みであった。

 要するに『デイ・イズ・ダン』は,ジャズの「定番フレーズ封印」の妙である。最初から最後まで,所謂,古典的なバップ・フレーズとか,困った時のつなぎのフレーズが出て来ない。
 しかし出来上がりは“紛れもなく”ジャズそのもの! “聴き易いのにコクがある”鉄壁・和声のハーモニー! うぉ〜!

  01. KNIVES OUT
  02. ALFIE
  03. MARTHA MY DEAR
  04. DAY IS DONE
  05. ARTIS
  06. TURTLE TOWN
  07. SHE'S LEAVING HOME
  08. GRANADA
  09. 50 WAYS TO LEAVE YOUR LOVER
  10. NO MOON AT ALL

(ノンサッチ/NONESUCH 2005年発売/WPCR-12215)
(☆スリーブ・ジャケット仕様)

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