WHEN I FALL IN LOVE-1 『THE ART OF THE TRIO VOLUME TWO:LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD』『SONGS:THE ART OF THE TRIO VOLUME THREE』『ART OF THE TRIO 4:BACK AT THE VANGUARD』の3枚は,凄いピアニストだが“肌が合わない”と感じていたブラッド・メルドー

 それでも「ビル・エヴァンスキース・ジャレットミシェル・ペトルチアーニの系譜を引き継ぐピアニスト」との評判があちらこちらで聞こえるために新譜のチェックはぬかりなく〜。

 そうして出会った『PLACES』と『PROGRESSION:ART OF THE TRIO,VOLUME 5』。なかなかよろしい。確かにビル・エヴァンスの再来と呼んでもいいかもしれない。キース・ジャレットにはかなわないがミシェル・ペトルチアーニの後継者と呼んでもいいかもしれない。あの時点でのブラッド・メルドーの評価はそんなものだった。

 しかし,ブラッド・メルドーデビュー前の「メルドー&ロッシ・トリオ」名義のインディーズ盤=『WHEN I FALL IN LOVE』(以下『フェン・アイ・フォール・イン・ラブ』)を聴き終えて,ついにブラッド・メルドーの“超・天才”を体感した。「これは只者ではないな」と。

 実に完璧な演奏である。最初,観客の拍手が鳴るまで『フェン・アイ・フォール・イン・ラブ』がライブ盤だとは気付かなかった。「うそだろう。スタジオ録音じゃなかったのかよ」。

 「メルドー&ロッシ・トリオ」の圧倒的にクールで正確無比のタイム感。ここまで来れば「1/Fの揺らぎ」など必要ないだろう。

WHEN I FALL IN LOVE-2 これは音楽なのだろうか? もしや数式を聞かされているのではあるまいか? とにかく1曲目の【ANTHROPOLOGY】で浮かび上がる,理路整然とした複雑な「幾何学模様」。
 この演奏にデビュー後のブラッド・メルドーにつきまとう難解さは感じない。むしろ“完璧に均整のとれた数学的な美しさ”を感じるのみ。いや〜,度胆を抜かれてしまったのだ。

 これが“超・天才”と呼ばれる所以であった。ブラッド・メルドーデビュー前から凄すぎた。「ミスター・完璧」襲名である。
 ブラッド・メルドーは「ビル・エヴァンスキース・ジャレットミシェル・ペトルチアーニの系譜を引き継ぐピアニスト」で間違いない。未だブラッド・メルドーを越える現代ジャズピアニストは現われていない。

  01. ANTHROPOLOGY
  02. AT A LOSS
  03. WHEN I FALL IN LOVE
  04. COUNTDOWN
  05. CONVALESCENT
  06. I FALL IN LOVE TOO EASILY
  07. I DIDN'T KNOW WHAT TIME IT WAS

(サウンドヒルズ/LUMINAISSANCE 2002年発売/LNCD-4005)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/瀧口譲司)

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