GETTIN' TOGETHER!-1 アート・ペッパーの一番ゴキゲンなアルバム。それが『GETTIN’ TOGETHER!』(以下『ゲティン・トゥゲザー』)である。

 アート・ペッパーは日常的に余り聴かない管理人だが『ゲティン・トゥゲザー』は“例外”である。とにかく楽しい。何回もまた聴きたくなってしまう。
 ほら見てください。『ゲティン・トゥゲザー』のCDジャケットを。
 アルト・サックスを抱えてはいても,この雰囲気は工事現場のガテン系?な佇まい。アート・ペッパーがこれほど本気で笑っているCDジャケットも珍しい。本人もお気に入りのジャケット写真なのでは?

 内容は勿論,ジャケット写真も“陽気で明るい”『ゲティン・トゥゲザー』こそ,ウエスト・コースト・ジャズの“オーラ満載”盤なのだ〜。『ゲティン・トゥゲザー』こそ,管理人が選ぶアート・ペッパーの愛聴盤なのだ〜。

 巷では『ゲティン・トゥゲザー』と来れば「『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』の二番煎じでしょ?」が模範解答なのであるが,そんな世評の「続編」悪評など気にしてはならない。
 正直,悪評を付けられても致し方ない部分もある。『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』と比較してアート・ペッパーアドリブは劣化している。リズム・セクションの3人も(マイルス・デイビス・バンドの歴史からすると)格落ちであろう。

 でも,だからいいのだ。“神がかり的な”アート・ペッパーアドリブを体験したら寿命が縮む。
 マイルス・デイビス栄光の第1期黄金クインテットの3人ではないにしても,ピアノウイントン・ケリーベースポール・チェンバースドラムジミー・コブピアノ・トリオウェス・モンゴメリーの大名盤ハーフ・ノートのウェス・モンゴメリーとウイントン・ケリー』&『フル・ハウス』でのウイントン・ケリートリオ。「ザ・リズム・セクション」としての“知名度”が小粒なだけで実力は「折り紙つき」なのである。

GETTIN' TOGETHER!-2 そう。『ゲティン・トゥゲザー』の企画としては「『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクションアゲイン」なのだが,実体は「続編」ではなく別物。
 「アート・ペッパー VS マイルス・バンドのザ・リズム・セクション」というフォーマットが同じなだけで,その実,アート・ペッパーのワン・ホーンではないのだから音造りからして「続編」ではなく別物。

 ついでに『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』での,レッド・ガーランドポール・チェンバースフィリー・ジョー・ジョーンズ組とはフォープレイが結成できたが,ポール・チェンバースだけが残留で,ウイントン・ケリージミー・コブでは,ニュー・フォープレイの結成ならず〜が「続編」ではなく別物。

 リマスタリングで聴いているせいなのかもしれないが,アート・ペッパーアルト・サックスの“鳴り”も「続編」ではなく別物。
 レスター・ケーニッヒの狙いである“二番煎じのカムフラージ”トランペットコンテ・カンドリのプッシュを借りて「ウエスト・ミーツ・ザ・イースト」のマイスター=アート・ペッパーが予定調和的に吹き上げていく名人芸。

 …でっ,リラックスした状態で“ひょい”と一捻りしただけの“天才のアドリブ”がニヒルで痛快で快感なんだよなぁ。遅れてきたスイングが気持ちいいんだよなぁ。
 スイングするアート・ペッパーが,たまらんなぁ。

  01. WHIMS OF CHAMBERS
  02. BIJOU THE POODLE
  03. WHY ARE WE AFRAID?
  04. SOFTLY, AS IN A MORNING SUNRISE
  05. RHYTHM-A-NING
  06. DIANE
  07. GETTIN' TOGETHER
  08. GETTIN' TOGETHER (alternate take)
  09. THE WAY YOU LOOK TONIGHT

(コンテンポラリー/CONTEMPORARY 1960年発売/VICJ-60761)
(ライナーノーツ/マーティン・ウイリアムス,久保田高司)
(紙ジャケット仕様)

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