3 BLIND MICE-1 3管編成ジャズ・メッセンジャーズによるハリウッドのライブ盤『3 BLIND MICE』(以下『スリー・ブラインド・マイス』)は『モザイク』の姉妹盤である。

 『スリー・ブラインド・マイス』を聴けば『モザイク』でウェイン・ショーターが演ろうとしたことがよく分かる。理由は選曲がスタンダード中心ゆえに,ウェイン・ショーターの手の内が丸見え,だからである。
 どうやら管理人は『モザイク』を3管編成をフロント中心に捉えすぎていたようだ。そうではなかった。ジャズ・メッセンジャーズのモードのキーマンはピアノシダー・ウォルトンであった。

 『スリー・ブラインド・マイス』はライブ盤という性格上,メンバーのソロに時間が多く割かれている。これがスタジオ録音であればメンバーのソロは少なめで,その分,アンサンブルの時間が長いので気付きにくいのだろうが,ほぼメンバーのソロのバックで「3分の2のリフ」が入っている。これぞ3管の強み=ゴージャスな2本立てのメロディ表現が実現できている。

 しかしライブにおいて「3分の2のリフ」は多用し辛い。ソロの時間も長くなるし基本アドリブなのだから…。
 そ・こ・で・シダー・ウォルトンウェイン・ショーターは『スリー・ブラインド・マイス』でピアノシダー・ウォルトンを重用している。

 【ブルー・ムーン】におけるフレディ・ハバードのオープン・トランペット。【アップ・ジャンプト・スプリング】におけるフレディ・ハバードのミュート・トランペットフレディ・ハバードトランペットソロの傍らには,いつもピアノシダー・ウォルトンがピッタリと寄り添っている。
 ソロだけではない。3管の能力をフルに生かした作風の【チルドレン・オブ・ザ・ナイト】では3管全てに張付いている。

 そう。3管編成ジャズ・メッセンジャーズが“乗るも反るも”全てはピアニストの出来にかかっている。シダー・ウォルトンのモードへの理解がジャズ・メッセンジャーズの前進と繋がっている。『モザイク』『スリー・ブラインド・マイス』ときての『ウゲツ』なのだ。
 モード・ピアニストが鍵を握るウェイン・ショーターの秘技・見破ったり〜!?

 しか〜し,そこは“ショーター・マジック”! 目を(耳を)ピアノから逸らすための巧みなカウンターによる豊かなハーモニー。決して,ワッ,と行かせないタイム・コントロール。ウェイン・ショーターの“煙幕”が素晴らしい。

3 BLIND MICE-2 管理人の結論。『スリー・ブラインド・マイス批評

 『スリー・ブラインド・マイス』の楽しみは「花より団子」である。敢えて,咲き乱れているシダー・ウォルトンピアノから視線を逸らし“ショーター・マジック”を食す。すると一気に気分は軽やか。理屈抜きなど考えずに気持ち良く腰を振るのみである。

 『スリー・ブラインド・マイス』で覚えた「ウェイン・ショーターのモード味」で『モザイク』を食す。凝りに凝ったアンサンブル&バックリフもアート・ブレイキーに与えられたドラムソロのスペースも『モザイク』のモザイクが薄く消えていくような感覚で楽しめる。

 だから『スリー・ブラインド・マイス』の楽しみは「花より団子」。『モザイク』と『スリー・ブラインド・マイス』を両方聴いてください。理解は3倍。感動は4倍に広がりますよっ。

PS 『スリー・ブラインド・マイス』は絶対に「+2」の別テイク入りを購入してください。【チルドレン・オブ・ザ・ナイト】と【アップ・ジャンプト・スプリング(別テイク)】は必聴の発掘王です。

  01. THREE BLIND MICE
  02. BLUE MOON
  03. THAT OLD FEELING
  04. PLEXIS
  05. UP JUMPED SPRING
  06. WHEN LIGHTS ARE LOW
  07. CHILDREN OF THE NIGHT
  08. UP JUMPED SPRING (alternake take)

(ブルーノート/UA 1962年発売/TOCJ-9429)
(ライナーノーツ/岡崎正通)
(紙ジャケット仕様)

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