THE MANHATTAN PROJECT-1 ドラムレニー・ホワイトを中心に集まったのはテナーソプラノサックスウェイン・ショーターピアノミシェル・ペトルチアーニベーススタンリー・クラーク
 どうですか? この超豪華メンバー! これぞ『THE MANHATTAN PROJECT』(以下『マンハッタン・プロジェクト』)なるスペシャル・プロジェクト

 ジャズは“一期一会”な音楽なので,このマンハッタン・プロジェクトのように,さっと集まってささっと演奏して飲んで帰る,が通例なのだが,マンハッタン・プロジェクトには,ここにスタジオ・ライブでのCDDVD収録という「音と映像の一発撮り」という難条件が加わっていた。
 でもでも,やっぱり通例通りに,さっと集まってささっと演奏して音とビデオを一発で撮って飲んで帰る〜。出来はセッションらしからぬコンボ・サウンド〜。
 おおっと忘れるところでした。上記難条件にもう1つ,ブルーノートの新人ジャズ・ボーカリストラシェル・フェレルのプロモーション付き〜。ラシェル・フェレルには全く興味はありませんが,読者の皆さんも一度見てみてください。ほえ〜で奇妙なスキャットの大迫力に「恐いものみたさ」を感じますよっ。

 4人のジャズ・ジャイアントによるスーパー・ウルトラ・カルテット。見所満載で悠長にDVD批評などしている余裕などなくしてしまう圧倒的な演奏力。どこを見ても誰を見ても素晴らしい。仮にマンハッタン・プロジェクトがレギュラー・カルテット化していたならば「90年代のV.S.O.P.?」として間違いなくジャズの歴史の爪痕を残すビッグ・コンボになったことだろう。

 テナー・サックスソプラノ・サックスウェイン・ショーターが素晴らしい。
 この夜のセット・リストを眺めると,マイルス・バンド時代の代表曲【ネフェルティティ】に新曲【ヴァーゴ・ライジング】(後に『ハイ・ライフ』収録)。そしてウェザー・リポートウェイン・ショーターとの係わりが深いジャコ・パストリアスの【ダニア】と3トラックもウェイン・ショーター絡み。これにはリーダー=レニー・ホワイトの「ショーターで行こう」な意向が見え隠れしている?

 しか〜し,管理人がウェイン・ショーターを絶賛するのは,勝手知ったるレパートリー以外で炸裂するウェイン・ショーターアドリブにある。
 この夜のウェイン・ショーター,前半はノッテいない。まっ,ウェイン・ショーターはいつでもマイペースなのだが【ダニア】ではソプラノの調子が悪かったのか,しきりに楽器を気にしている。
 そんなウェイン・ショーターの“ジャズメン魂”に火を付けたのがラシェル・フェレルフィーチャリングした【枯葉】。ブルーノート・レーベルの【枯葉】らしく『マンハッタン・プロジェクト』の【枯葉】はキャノンボール・アダレイの『サムシン・エルス』のアレンジを踏襲している。そのお膳立ての上でラシェル・フェレルを泳がせている。

 しかし【枯葉】の聴き所はブルーノートの新社長=ブルース・ランドヴァルにとっては残念だろうが,ラシェル・フェレルの歌終わりから始まるウェイン・ショーターアドリブである。
 テクニックと勢いだけの“新人”ラシェル・フェレルアドリブジャズの酸いも甘いも知り尽くした“ベテラン”ウェイン・ショーターアドリブ。2人の段違いの表現レベルに「ショーター,あっぱれ」。フュージョン・タッチな【ネフェルティティ】のリズム抑え目&フロント全開なテナー・サックスにも「ショーター,あっぱれ」。

 ピアノミシェル・ペトルチアーニが素晴らしい。
 ミシェル・ペトルチアーニの映像に引き込まれる。ハンディキャップがあるにも関わらず五体満足なピアニストでもとても弾きこなせやしない。短い命を宿命づけられたピアノに“感謝感激”の念が湧き上がる。

THE MANHATTAN PROJECT-2 さてさてDVDマンハッタン・プロジェクト』の主役は,リーダーでプロデューサーでもあるレニー・ホワイトドラムである。画面に四六時中,レニー・ホワイトドラムがフィルインする。
 しか〜し『マンハッタン・プロジェクト』の“陰の”主役はベーススタンリー・クラークスタンリー・クラークの大暴れがあればこそCDDVDが売れたのだと思う。

 前半はジャコパスを意識してのことなのか【ダニア】でもウッド・ベースを弾いていたが,後半のエレクトリック・ベースに持ち替えてからが真骨頂。
 【ネフェルティティ】【グッドバイ・ポーク・パイ・ハット】におけるウェイン・ショーターとの掛け合い。【サマータイム】におけるレニー・ホワイトとの掛け合いがお見事。どんどんどんどん前へ前へ〜。

 そう。『マンハッタン・プロジェクト』の副題は「スタンリー・クラークの“まさかの突進に”レニー・ホワイトウェイン・ショーターミシェル・ペトルチアーニが引っ張られるの巻き〜」。完。

PS 本文には登場させませんでしたが,サポート参加のギル・ゴールドスタインピート・レヴィンツインキーボードマンハッタン・プロジェクトを“最新の”アコースティックカルテットへと昇華させる働きをしていると思います。

  01. OLD WINE, NEW BOTTLES
  02. DANIA
  03. AUTUMN LEAVES
  04. NEFERTITI
  05. VIRGO RISING
  06. GOODBYE PORK PIE HAT
  07. SUMMERTIME

    WAYNE SHORTER : Tenor Sax, Soprano Sax
    MICHEL PETRUCCIANI : Piano
    STANLEY CLARKE : Bass
    LENNY WHITE : Drums

    GUEST MUSICIAN
    GIL GOLDSTEIN : Keyboards
    PETE LEVIN : Keyboards
    RACHELLE FERRELL : Vocal

(ブルーノート/BLUE NOTE 2005年発売/TOBW-92049)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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