EARTH STEP-1 『EARTH STEP』(以下『アース・ステップ』)での“カッコイイ”ナベサダを是非聴いてみてほしい。
 ナベサダが思いっきり“スタイリッシュ”している。『アース・ステップ』こそ,渡辺貞夫ダンディズム。真に“お洒落”な音楽なのである。

 ズバリ『アース・ステップ』の真実は『フロント・シート』リターンズ! ボーカル曲が2曲で曲順が3曲目と5曲目。そう。『アース・ステップ』はNYでの『フロント・シート』なのである。

 『アース・ステップ』での“振り幅”はもはやスムーズ・ジャズ。バックの音造りが変わったとかレーベルを移籍したとか『アース・ステップ』での渡辺貞夫の変化は大きいが,一番の変化は渡辺貞夫サックス・フレーズ。
 渡辺貞夫ネルソン・ランジェルばりに,エリック・マリエンサルばりに,時にクールに時にパワフルに“イカシタ”サックスを吹いている。いや〜,これが最高に“カッコイイ”。

 フュージョンよりもアドリブが少ないスムーズ・ジャズ。ゆえにスムーズ・ジャズ路線で重要なのはサックスの“音色の美しさ”であろう。“世界一美しい”渡辺貞夫アルト・サックスがさらに“輝きまくっている”。

 『アース・ステップ』で一貫して感じるダンディズムは,若々しいのではなく若い。渡辺貞夫が年齢を忘れて燃え上がっている。『フロント・シート』リターンズに没頭している。
 果たして,勢い余って『フロント・シート』を少々踏み出してしまった。やりすぎの『フロント・シート』〜燃える『フロント・シート』。それが『アース・ステップ』の“個性”だと思う。

 (渡辺貞夫を全部聴いていないので説得力はあれなのだが)渡辺貞夫をずっと追いかけてきて『アース・ステップ』を聴き込んできた頃に,ふと感じたある思い。それは『アース・ステップ』の録音前後が渡辺貞夫の“充実期”だと思ったということ。

 『アース・ステップ』前後の渡辺貞夫は,何をやっても新鮮なアイディアが湧き出ていた。トンガッテルのに全てが受け入れやすいのだ。渡辺貞夫の若さと貫禄がチャレンジへと駆り立てていたと思えてならない。それ程『アース・ステップ』の“個性”を強烈に受け止めたものだった。

 なんだかんだでここまで書いて今気付いた。『フロント・シート』の“二番煎じ”なスムーズ・ジャズ路線なのに,そんなに高評価ではなかったはずなのに,管理人は『アース・ステップ』に一番愛着があるんだと思う。“隠れ”『アース・ステップ』ファンなの? ← もう自分では冷静に判断できない状態なので〜

EARTH STEP-2 管理人の結論(番外編)。渡辺貞夫の音楽指南。

 『フロント・シート』の次の一作は管理人が選んでやる。つべこべ言わずに『アース・ステップ』を聴け! こんなに“カッコイイ”ナベサダを聴き逃してほしくない。

  01. Love Will Make it Right
  02. Earth Step
  03. We'll Never Know
  04. Sangoma
  05. One Night in a Dream
  06. So Do I
  07. Love Song for Africa
  08. Windfall
  09. Lover's Walk
  10. What Do You Say
  11. Till We Meet Again

(ファンハウス/FUNHOUSE 1993年発売/FHCF-2092)

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