AFTER HOURS-1 「オスカー・ピーターソンへの想い溢れるニュー・アルバム。2007年末に急逝した,世界ジャズ界を代表するピアニストオスカー・ピーターソン。生前オスカーが愛したスタンダード・ナンバーを中心に,ドラムレス・トリオでスウィンギーに綴る8つの名曲」。
 そう。上記,CD帯にあるように『AFTER HOURS』(以下『アフター・アワーズ〜オスカー・ピーターソンへのオマージュ』)は山中千尋が捧げるオスカー・ピーターソンへのトリビュートCD

 しかし…。急遽企画を変更し1週間の準備期間でレコーディングに臨んだせいなの? 『アフター・アワーズ〜オスカー・ピーターソンへのオマージュ』を何度も何度も聴き直してみたが,ハッキリ言って,どこがどうオスカー・ピーターソンへのオマージュになっているのかがよく分からない。
 フォーマットこそオスカー・ピーターソンが1958年まで守り通した「ピアノベースギター」のドラムレス・トリオのオールド・スクール編成を採用しているものの,ギタージョー・パスハーブ・エリス以上に(良い意味で)歌っちゃっているし,選曲もオスカー・ピーターソンとは縁の薄いキース・ジャレットの歌ものまで入っているわけだし…。

 これは新手の「オスカー詐欺」? はい。そうです。オスカーの影響を感じさせるのはイントロ部分のみ。オスカーが乗り移ったかのごとき早弾きも皆無。イメージとしてはエディ・ヒギンズへのトリビュートと呼んだ方が正解のような…。
 こんなに真っ当にジャズ・スタンダードと向き合った山中千尋は『アフター・アワーズ〜オスカー・ピーターソンへのオマージュ』の他にはいません。灰汁の抜けきった純白で常識人の山中千尋嬢が気負わず普通にピアノを弾いています。エディ・ヒギンズばりに時折,軽くスイングしてくれています。

 でもでも,だからいいんです! 言わば『アフター・アワーズ〜オスカー・ピーターソンへのオマージュ』は「オスカー詐欺」ならぬ「ちーたん詐欺」! これまでの山中千尋の演奏とは一味も二味も違う魅力にメロメロなわけです。
 元来「オール4」の山中千尋が,オスカー・ピーターソンへのオマージュの名を借りて変態チックなアレンジを完全封印しています。素材勝負の白無垢姿でのウィンクがたまらなくGOOD。『ABYSS』からの振り幅の大きさに魂を抜かれそうになるわけです。

 勝手知ったるスタンダードに適度なアドリブが,サラ〜っと聞き流せる。総演奏時間も35分と時代錯誤的に短い。
 とにかくシンプルにでストレートなあっさり味。いつものショウ油とんこつに代わって今回は塩ラーメン。ねぎとバターでさっぱり味。「オヤジ,替え玉バリカタで〜」状態。いい。

AFTER HOURS-2 管理人の結論。『アフター・アワーズ〜オスカー・ピーターソンへのオマージュ批評

 『アフター・アワーズ〜オスカー・ピーターソンへのオマージュ』は全ての演奏が高水準。気をてらったもののない,自然に淀みなく心から沸き上げる溢れ出す品の良いアドリブエディ・ヒギンズ譲りの「しっとりと,でもしっかりと」スタンダードを“弾き上げる”山中千尋ピアノにウットリ。もっと聴いていたい,と思う間に1枚聞き終えてしまうの繰り返し。
 
 (日本ゴールドディスク大賞【ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー】受賞盤であるのだが)『アフター・アワーズ〜オスカー・ピーターソンへのオマージュ』を山中千尋の「佳作」と読む。

  01. ALL OF ME
  02. THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU
  03. CONFIRMATION
  04. YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO
  05. SIOUX CITY SUE NEW
  06. ALL THE THINGS YOU ARE
  07. OVER THE RAINBOW
  08. EVERYTHING HAPPENS TO ME

(ヴァーヴ/VERVE 2008年発売/UCCJ-2065)

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