LIVE AT MONTREUX FESTIVAL-1 『FIESTA FIESTA』で世界進出した松岡直也ウィシングモントルー・ジャズ・フェスティバルにて真に世界デビュー
 その完全実況盤が『LIVE AT MONTREUX FESTIVAL』(以下『ライブ・アット・モントルー・フェスティバル』)である。

 日本のサルサ・バンドとして世界へ名を轟かした松岡直也ウィシング松岡直也ビッグ・バンドであったが,一般への認知度はほぼゼロ。モントルー・ジャズ・フェスティバル出演で生音を持っての殴り込み。知識ゼロの観客への期待と恐怖がクロスするステージング。結果は…。

 観客の腰をKOの大成功である。オオウケであった。リップサービスなしの称賛の拍手。クロード・ノブスによるイントロダクションからアンコールまでの無編集・完全ドキュメントゆえ,会場の盛り上がりが忠実に再現されている。
 オープニングの【THEME】が固い。続く【DESAFIO】で一息つく。【PENNY MARKET】から落ち着いき出した演奏は【NOCHE CORRIENDO】からノッテくる。特に素晴らしいのが清水靖晃マイケル・ブレッカーばりのテナー・ソロ。観客のストレートな反応がエキサイティング。
 松岡直也ビッグ・バンドに,トゥーツ・シールマンスモンゴ・サンタマリアの大物ゲスト陣が参加するDISC 2の演奏はDISC 1とは大違い。“バンドはライブ&観客の声援で成長する”ことを如実に実感してしまう。

 尤も,ライブに付き物のハプニング。【DRIED FLOWER & DRIED LOVE】で土方隆行ギターが落ちる。【QUE PASA AMIGO】ではモンゴ・サンタマリアとのエンディングが決まらない。
 しかし最大のハプニングは60分の持ち時間が90分への延長戦。リハーサルも出来ずトリから2番手の出演順に変更。そして本番直前にトップ・バッターへと再変更。なのに運営側から【MISTICA LATINA】【RAP OUT(OYE BAILA MI SON)】【ADRIA】へGOサイン。海外のジャズ・フェスでは何が起こるかわからない?

LIVE AT MONTREUX FESTIVAL-2 『ライブ・アット・モントルー・フェスティバル』録音時,世界でラテンと言えばサルサのことであり,ラテン・フュージョンの香りを創造していたのはチック・コリアぐらいなもの。そんな中,ここまで成熟したラテン・フュージョン松岡直也ウィシングを造り上げていた事実に驚いてしまう。

 日本が誇る最強メンバー「松岡直也と愉快な仲間たち」のバンド・サウンド。その中心に鎮座する松岡直也のモントゥーノ。汗をカキカキ笑いながら演奏している感じがする。この手の雰囲気が大好きなのであります。

  DISC 1
  01. THEME
  02. DESAFIO
  03. PENNY MARKET
  04. NOCHE CORRIENDO
  05. MISTICA LATINA
  06. RAP OUT (Oye Baila Mi Son)
  07. ADRIA

  DISC 2
  01. FALL FOREVER
  02. DRIED FLOWER & DRIED LOVE
  03. FISHERMAN'S BREAK
  04. QUE PASA AMIGO

(アーント/ANT 1980年発売/ANT-13-4)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/吉成伸幸,瀬戸由紀男)

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