PRECIOUS-1 待ちに待ちましたよ。待ち焦がれましたよ。かおりん。
 小林香織が“ジャズ界の実力派アイドル”へと脱皮した『SHINY』から3年ぶりとなる“待望の”オリジナルCDが『PRECIOUS』。

 『PRECIOUS』には小林香織の“濃密な3年間”が投影されている。『PRECIOUS』で小林香織は“ジャズ界の実力派アイドル”から“ジャズ界の実力派女優”への変貌期。
 よくあるでしょ? アイドルから女優への転向。小林香織が目指した役割モデルは「篠原涼子」。かわいい系改め“カッコイイ女”を目指したのだ〜。

 その証拠がCDジャケット。『PRECIOUS』のジャケット写真はジーンズに黒革ブーツ。シルバー・アクセが揺れるストリート系。そう。宝塚で例えれば“かわゆい娘役から男役へ”の振り幅であろう。
 もはや管理人の大好きなアイドル系の面影が薄れたのは淋しい限り。かおりんを「絶世の美女」だと思っている。AKBにでも入ればメディア選抜も間違いない。読者の皆さんも是非『GOLDERN BEST』での“キラキラおめめ”を見てくださいよ〜。マジでピーターパンの星が瞳に入ってましたから〜。
 
 しか〜し,かおりんの変わり様は音楽にこそ顕著。『PRECIOUS』の楽曲は実にバラエティ。3年ぶりのオリジナル・アルバムゆえ,様々なアイディア&エッセンスが散りばめられている。やりたいことがたまっていたのだと思う。
 でも『PRECIOUS』には「とっ散らかった感」はない。理由は一本の筋=小林香織の“ファンキーサックス”の確立である。

 ここで訂正。小林香織の役割モデルは「篠原涼子」改め「キャンディ・ダルファー」。
 小林香織は,そのデビュー時より“和製キャンディ・ダルファー”と称されてきた。その称号が『PRECIOUS』において身の丈に合ってきた。もう“背伸びしなくても”キャンディ・ダルファー完全消化。そこから小林香織の“新しい個性”が聴こえ始めている。
 『PRECIOUS』でついに師匠越え?(← 評価は時期尚早。次作で「キャン・ダル越え」を高らかに宣言してほしい!)

 さて『PRECIOUS』の聴き所は“小林香織のバンド・サウンド”にある。小林香織のレギュラー・バンド=「K.K.BAND」が指揮者=小林香織の“ファンキーサックス”の変化に瞬時に反応している。ここに小林香織の“濃密な3年間”の秘密があった。

PRECIOUS-2 大坪稔明笹路正徳重実徹と続いた大物プロデューサーの手を離れ,JINOつながりで巡り会った村田隆行プロデュース。
 村田隆行は「K.K.BAND」のベーシスト。そう。普段,小林香織の魅力を一番近い位置から見つめボトムを支え続ける“現場叩き上げの”プロデューサー。村田隆行の働きで,完全に小林香織のバンド・サウンドが固まっている。新メンバーも「KANA&TAMA−CHAN」も大活躍である。
 そう。小林香織村田隆行&「K.K.BAND」+犬ネコまで含めた「小林香織ファミリー」のイメージの共有が明確なのだ。

 新境地の4トラック【OVERTURE 〜火の鳥〜】【PROLOGUE 〜GREAT INDIA〜】【GREAT INDIA】【MAXIMUM ATTACK】で感じる馬力の上昇。アルト・サックスの音色が野太くなった。良くも悪くも「もう元には戻らない&戻れない」。
 一方,従来路線のフュージョン・サックスPRECIOUS】【TANABATA】【KAHLUA MILK】は“変声期”の小林香織が記録されている。良くも悪くも「もう元には戻らない&戻れない」。

 初回限定盤のお楽しみ=特典DVDの編集にはダメ出ししたい。篠原涼子やキャンディ・ダルファーを越える「大女優の卵」小林香織嬢ですぞ〜。この“やっつけ仕事”は「ビクターの汚点」と語り継がれるべき歴史的な不出来である。金返せ〜?

    CD
  01. Overture 〜火の鳥〜
  02. PRECIOUS
  03. TANABATA
  04. Prologue 〜Great India〜
  05. Great India
  06. Kahlua Milk
  07. Organic Relation
  08. Maximum Attack
  09. Garniture
  10. Stay with You
  11. Peridot
  12. Nothing's Gonna Change My Love for You

    DVD
  01. TANABATA
  02. Prologue 〜Great India〜
  03. PRECIOUS

(ビクター/JVC 2011年発売/VIZJ-11)
★【初回限定盤】 CD+DVD

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