PRESENT I-1 プリズムの25周年記念盤『PRESENT 』は,プリズム初のセルフ・カヴァーCD・第1弾。

 現プリズムの形であり,管理人の中で「主流派」である“ジャズ系”ギター・トリオは実は「非主流派」。それで25周年のお祝いはギター・トリオ結成前の“売れ線”「プログレ・フュージョン」期の焼き直しである。

 レコーディング・メンバーも,和田アキラギター木村万作ドラムに,新メンバーの岡田治郎ベース,ゲストとして森園勝敏ギター白尾泰久アルト・サックス中村哲ソプラノ・サックス新澤健一郎久米大作石黒彰キーボード中島オバヲ三島一洋パーカッションが参加したオールスター・セッションっぽくなっている。

 和田アキラライナーノーツの中でアルバム・タイトル『PRESENT』について「私たちからの贈り物という意味のプレゼントプリズムの現在=PRESENTという意味の」ダブル・ミーニングと語っているように,単なる焼き直しでは終わらない2003年仕様の新アレンジが新鮮である。

 セルフ・カヴァー作『PRESENT 』の成功の立役者は,新ベーシスト岡田治郎であろう。
 何と言ってもプリズムの半分は渡辺建でできていた。渡辺建はメロディアスなフレットレス・ベースをメインにチョッパーはほとんどやらないパンチラ・ベーシスト。「スケベなメロディにはフレットレス」とはナルチョの言葉だが,そのスケベ道を極めたかの如く実にスケベなベース・ラインを弾いていた。
 良くも悪くも“超個性”の渡辺建が抜けたらプリズムプリズムでなくなるのではないか? そんな不安を「二代目・渡辺建」として岡田治郎が支えていく。岡田治郎の「超絶フレットレス・ベース」が,従来のプリズムを支えると共に,バンドとして一歩も二歩も前進させている。
 そう。岡田治郎は「二代目・渡辺建」にして「二代目・日本のジャコ・パストリアス」襲名でよろしい。

 例えば,一発目の【BENEATH THE SEA】。10分を超える大作にして,過去に何バージョンも収録されている【BENEATH THE SEA】。しかし今回の『PRESENTヴァージョンは過去のどの【BENEATH THE SEA】とも異なっている。安定感とノリである。
 和田アキラ弾きまくりのバックでベース・ラインがブレイク。唖然とするような早弾きが唐突に出てくるかと思えば,複雑なギターをワン・ノートでサポートする。岡田治郎の安定感とノリが【BENEATH THE SEA】を,そしてプリズムのバンド・サウンドをまた進化させた。

 『PRESENT 』での“新生”プリズムの演奏は,いつになくソリッドでタイトでスリリング。仕掛けが多い複雑な曲とシンプルでメロディアスな曲,激しさと繊細さのバランスが聴きやすい。プリズムらしいスケール感と透明感を有する,瑞々しいコンテンポラリー・サウンドに昇華されている。そう。「アダルトなプリズム」の風格が漂っている。

 単純に年季入っている? その印象は和田アキラ“円熟の”ギター・プレイにある。『PRESENT 』での演奏をどうしてもオリジナルの演奏と聴き比べてしまうのだが,オリジナルはフュージョンと言うよりハード・ロックする,エネルギッシュでパワフルで荒々しい“若気の至り”的な演奏が多かったのだが『PRESENT 』での和田アキラは“綺麗め”な演奏である。

 和田アキラが一番変ったのはアドリブのメロディ・ラインである。以前は自分でも制御不能のアクロバティックなギター・ソロが耳についていたが『PRESENT 』でのギター・ソロは事前に書かれていたかのような見事な構成力。尖がった部分のない滑らかなフレージングである。
 勿論,早弾きも爆発力も健在である。テクニックは衰え知らず。この変化は楽曲と真摯に向かい合った緻密なアレンジの積み重ねによるものだろう。より必然性のあるフレーズを意識しているように思える。

 和田アキラにとってプリズムでの25年間は,ギタリストから音楽家への成長の歴史である。『PRESENT 』のバラエティに富んだ楽曲群は,正に和田アキラプリズムと共に,懐の深いジャズメンへの成長記録。
 そう。ギタリストにして名コンポーザー=和田アキラの大きな存在感に圧倒される。

PRESENT I-2 さて,プリズムの25周年記念盤『PRESENT』には『PRESENT 』と『PRESENT 』の2枚がある。
 正確には別売りであって2枚組ではないのだが,アルバムの性質上,2枚で1セットと言ってよい。

 プリズムのマニアとしては,この2枚をどう位置づけるかが語り草? 管理人は「メロウな機ぅ蓮璽匹吻供廚醗銘屬鼎韻襦
 いや,本音を言えば『PRESENT』は,2003年5月発売の『』と2003年7月発売の『』,そして2003年9月発売の『MJU:(ミュー)』を含めた3枚組。全曲新曲の『MJU:(ミュー)』を聴いてこそ『PRESENT 』と『PRESENT 』の本質をより深く理解できる。

 『PRESENT 』は,プリズム25年間の代表曲の焼き直しにして,現プリズムの最新レコーディング。『MJU:(ミュー)』にはない,新旧ゲスト参加のこの演奏はハッキリ言って新しい。
 そう。『PRESENT 』は“現在進行形”のフュージョン・バンド=プリズムのバンド・サウンドの記録である。

  01. BENEATH THE SEA
  02. MORNING LIGHT
  03. LOVE ME
  04. TOUCH 419
  05. SPANISH SOUL
  06. SUNRISE CRUISE
  07. DANCING MOON
  08. SHADOW OF THE JUNGLE GYM
  09. WON'T YOU RIDE NOW?!
  10. UNFORGETTABLE
  11. 元寇

(ユニバーサル・ミュージック/UNIVERSAL MUSIC 2003年発売/UPGH-1007)
(ライナーノーツ/中田利樹,プリズム)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)

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