2011年06月17日

マイルス・デイビス / PORI JAZZ '874

PORI JAZZ '87-1 私の記憶が確かならば(by 鹿賀丈史風)…。マイルス・デイビスの晩年のインタビューか何かで,マイルス本人が選ぶベスト・バンドとして,1987年のバンドが選ばれていた。

 トランペットマイルス・デイビスアルト・サックスケニー・ギャレットロバート・アービングアダム・ホルツマンのツイン・キーボードダリル・ジョーンズフォーリーのツイン・ベース・ギター。そしてリッキー・ウェルマンドラムミノ・シネルパーカッション

 総勢8人のバンド編成ゆえ「やりたいことがやり放題」の気もするのだが,生真面目なマイルス・デイビスが最高と言うのだから最高なのだろう。俄然,興味が沸いてきて,1987年のマイルス・バンドのブートCDを“買い漁った”時期があった。

 ただし,1987年のマイルス・バンドは管理人には不発であった。“ケバイ”ステージング同様,どこがいいのかさっぱり分からなかった。管理人にとってのマイルス・デイビスベスト・バンドは「電化マイルス後期」。
 混沌としたバンド形態ゆえ,固定されたバンド・メンバーの紹介など意味がない。「何でも有り」なはずなのに変らないアイデンティティ。やはり,誰が吹いても何人で吹いても全員が全員「マイルスそのものの音」。
 管理人のフェイバリットは『IN A SILENT WAY』なのだが『ON THE CORNER』『GET UP WITH IT』『AGHARTA』『PANGAEA』のどれもが最高なのだ。

 ではなぜマイルス・デイビスは自身のベスト・バンドとして,1987年のバンドを選んだのだろう? その答えがライブブートDVDPORI JAZZ ’87』の中にある。1987年のマイルス・バンドの実力を,そして秘密をついに見つけた思いがした。

 やはりマイルス・デイビスは生真面目な男だった。ケニー・ギャレットダリル・ジョーンズが「前と後ろを上と下を」絶妙に引っ張る共存サウンドは,このメンバーならではの味。
 きっとマイルス・デイビスは,1987年バンド以降のサックス奏者は“仮想”ケニー・ギャレットで,ベーシストは“仮想”ダリル・ジョーンズをイメージしたのではなかろうか?

 そんなこんなで?“真性”ケニー・ギャレットダリル・ジョーンズインタープレイするマイルス・デイビスが絶好調。
 思うに,マイルス・デイビスが1987年バンドをベストに選んだ理由は,自身のトランペットが一番カッコ良く聞こえる音が鳴っていたからではなかろうか? 確かにマイルス・デイビスアドリブは生涯のどの時期にもましてキレているように思う。

  マイルス・デイビス生涯の愛奏曲【ヒューマン・ネイチャー】。真夏の真昼間の北欧の野外ステージに流れる【ヒューマン・ネイチャー】。
 “帝王”マイルス・デイビスの両脇で「助さん角さん」役のケニー・ギャレットダリル・ジョーンズが支えている。自由に忠実に彩られた“仮想”マイルス・デイビスの“哀愁の三重奏”が最高に素晴らしい。

PORI JAZZ '87-2 …と,ここまで『PORI JAZZ ’87』を贔屓してみたが,そこはやっぱりブートマイルス初心者にはお奨めできない。

 画質の粗さは及第点として,どうしても演奏に入り込めない欠点=音量の乱高下。音質はいいのだが,ここぞっ,という箇所で音量が下がるはこもってしまうはで興ざめしてしまう。【リンクル】のブツ切れも含めて,これだけの高級素材なのだからもって丁寧に扱ってほしかった。
 マイルスへの敬意が足りない編集スタッフには,中山康樹からの厳しいダメ出しが待ち受けている?

 管理人の結論。『PORI JAZZ ’87』は,短期間のベスト・バンドの活動の記録。オフィシャル盤を“行き巡った”マイルス・デイビス・フリークの“桃源郷の逸品”である。
 未だ1987年バンド低評価のマイルス・デイビス・フリークにこそ『PORI JAZZ ’87』を見てほしい。そして管理人同様,1987年のベスト・バンドの魅力に“開眼”してほしい。

 でもでもやっぱり,1987年バンド最強説は“誇張”でしょう。やっぱりマイルス・バンドは「電化マイルス後期」です。

  01. Blues
  02. Perfect Way
  03. The Senate / Me And You
  04. Human Nature
  05. Wrinkle

    MILES DAVIS : Trumpet, Keyboards
    KENNY GARRETT : Saxophone, Flute
    BOBERT IRVING III : Keyboards
    ADAM HOLZMAN : Keyboards
    JOSEPH "Foley" McCREARY : Guitar
    DARRYL JONES : Bass
    RICKY WELLMAN : Drums
    MINO CINELU : Percussions

(FOOTSTOMP/FOOTSTOMP 2006年発売/FSVD-212)

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adliblog at 23:32│Comments(2)この記事をクリップ!DVD批評
この記事へのコメント
1. Posted by 風の少年   2011年06月19日 23:39
『IN A SILENT WAY』『ON THE CORNER』『GET UP WITH IT』『AGHARTA』『PANGAEA』〜どのアルバムも電化マイルスを語る上で、最重要な物ばかりですね。
ボクも上記のCDは全部持っているのですが、余程体調の良い時にしか、聴きません(笑)
この時期はまさに「音の洪水」といった感じで、ボクはいつも流されてしまうのです(^^;
と言うか、あまり理解出来てないのでしょうね(笑)

1987年のバンドがマイルスにとってのベストだったのですか〜
>自身のトランペットが一番カッコ良く聞こえる音が鳴っていたからではなかろうか?
多分、セラビーさんの推測が当たってると思います。
生涯スタイリストのマイルスですから、きっと、その辺の事が重要な部分だっんでしょうね。
2. Posted by セラビー   2011年06月20日 00:00
風の少年さん,コメントありがとうございます♪
私も(1)電化マイルスは体調の良い時でないと聴けません。そんなこんなでここ数年は体力の衰えと共に聴く機会は減少気味です。淋しい〜。

私も(2)電化マイルスはリッスンしているつもりなのにただ聞こえている状態になってしまいます。どうしても最後まで集中力が続きません。私も未来永劫理解出来ていません。悲しい〜。

私も(3)そうでしょそうでしょ。生涯スタイリストのマイルスですから,きっと,その辺の事が重要な部分だっんでしょうね。
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