TAKARANOUTA - T-SQUARE PLAYS THE SQUARE-1 「全曲・新録音による“THE SQUARE”時代の名曲コレクション!! THE SQUARE時代の超人気曲を,現T−SQUAREメンバー(安藤正容伊東たけし河野啓三坂東慧)によって再録音した究極のセルフカヴァー・アルバム」。
 T−スクェアの公式サイトに載せられた『宝曲(たからのうた) 〜T−SQUARE PLAYS THE SQUARE〜』の紹介文を読んで複雑な思いが込み上げた。

 カシオペアの『ASIAN DREAMER』である。『ASIAN DREAMER』は,カシオペアセルフカヴァー・アルバム。
 『ASIAN DREAMER』の構図はこう。「全曲・新録音による“JIMSAKU”時代の名曲コレクション!! JIMSAKU時代の超人気曲を,現CASIOPEAメンバー(野呂一生向谷実鳴瀬喜博熊谷徳明)によって再録音した究極のセルフカヴァー・アルバム」。ねっ,同じでしょ? 管理人の背中にむしずが走ったのも理解できるでしょ?

 『ASIAN DREAMER』の二の舞は絶対イヤ。過去の美しい遺産をブチ壊しにしないでほしい。それとも何? 『神曲』AKBへの便乗商法?(『宝曲』と書いて『たからのうた』と読ませちゃっています)
 それとも何? 『REFRESHEST』『MISS YOU IN NEW YORK』『T COMES BACK』には不満があるってこと? そう。スクェアセルフカヴァーはもう十分である。( ← 『時間旅行』の不出来を受けて,セルフカヴァーにうつつを抜かすな,オリジナル作りに精を出せ,の意味です )

 そう思っていた。『宝曲(たからのうた) 〜T−SQUARE PLAYS THE SQUARE〜』を聴くまでは,そう思っていた。
 しかし今では『宝曲(たからのうた) 〜T−SQUARE PLAYS THE SQUARE〜』最高! 安藤正容最高! 『宝曲』と書いて『たからのうた』と読ませたくなる気持ちが理解できる。これぞJ−フュージョン宝曲なのだ〜! 究極なのだ〜!!

 同じセルフカヴァーでも『ASIAN DREAMER』と『宝曲(たからのうた) 〜T−SQUARE PLAYS THE SQUARE〜』では,一体何が違うのか?
 その最大の違いは「リスペクト」の有無だと思う。過去のアレンジとその当時のレコーディング・メンバーへの「リスペクト」。そしてそのトラックを愛聴してきたファンへの「リスペクト」である。

TAKARANOUTA - T-SQUARE PLAYS THE SQUARE-2 「河野坂東時代」の現T−スクェアのサウンド・カラーは意外にも,伝統のスクェア・サウンド“保守”の姿勢である。この点はバンドの“革新”を目指した「松本時代」との一番の違いである。
 河野啓三坂東慧の音造りは,過去の楽曲を「完コピ」するところから始まっている。同じ音色,同じフレーズ…。彼らの引き出しの隅々に過去の歴代メンバーの手癖までもがインプットされている。その上での“自分色”なのだ。

 例えば『宝曲(たからのうた) 〜T−SQUARE PLAYS THE SQUARE〜』のオープニング・チューン【OMENS OF LOVE】。あの最初のシンセサイザーの音色に“ゾクっ”とした。
 繰り返し聴いた今となっては『R・E・S・O・R・T』と明らかに別物である。でもでも最初に聴いたあの瞬間は『R・E・S・O・R・T』の音源を再現している,いや,もっと言えば,和泉宏隆が弾いている,幻聴と思いつつもにわかにそう信じてしまった自分がうれしい。だまされてうれしい。“気持ちよくだましてくださいまして”河野くん,どうもありがとう〜。
 同じことは坂東慧にも当てはまる。坂東慧ドラミングが,時に則竹裕之に,時に長谷部徹に聞こえる瞬間がある。坂東くんも,どうもありがとう〜。

 さてさて話は続く〜。【OMENS OF LOVE】を聴き終えた直後の満足感。この満足感は,過去の再構築,の意味ではない。しっかりと現T−スクェアしている。【OMENS OF LOVE】が,生まれたばかりのあの瞬間の輝きを取り戻している。
 河野啓三坂東慧の“思い入れたっぷりの”名演につられたか,安藤正容伊東たけしの演奏がエネルギッシュ。安藤節全開,伊東節全開なアドリブが実に素晴らしい。

 元来,ジャズフュージョンインプロヴィゼーション・ミュージック。毎回がセルフカヴァーのようなもの。“ライブ・バンド”T−スクェアにとっては“お手の物”であろう。
 しかし,これがアルバム,スタジオ・レコーディングとなると微妙? ジャズメンとしてではなくアーティストとしての心理が芽生え気持ちが揺れる? きっと安藤正容も『宝曲(たからのうた) 〜T−SQUARE PLAYS THE SQUARE〜』のアレンジについて“迷いに迷った”のでは?

TAKARANOUTA - T-SQUARE PLAYS THE SQUARE-3 長年のファンにとってザ・スクェア時代の『宝曲』とは,ずっと親しみ続けてきた愛すべきオリジナル・アレンジ。それがどんなに素晴らしい新アレンジだとしても,耳に馴染むまでは違和感がどうしても先に来てしまうものだし,結果,気に入らなければオリジナルさえイメージダウンのハイリスク。

 そして安藤正容は決断した。『宝曲(たからのうた) 〜T−SQUARE PLAYS THE SQUARE〜』の新アレンジは,原曲通りで行こう。決断の決め手は,アーティスティック魂以上に大切な,スクェア・ファンへの「リスペクト」にあった。
 スクェア・ファンが喜ぶアレンジ=「原曲の良さを大事に,かつ今風のエッセンスで」。スクェア・ファンが望むのは『宝曲』のヴァージョン・アップではなくレヴィジョン・アップ盤なのだ。

 T−スクェアはこの難題に『宝曲(たからのうた) 〜T−SQUARE PLAYS THE SQUARE〜』で答えてくれた。
 結果,12曲全てで(すみません。誇張です。半分の6曲ぐらいで)オリジナルを超えている! この新アレンジがT−スクェアの代表曲。これがT−スクェアの『宝曲』。T−スクェアの新たなスタンダード・ナンバーの誕生である。

 『宝曲』での新アレンジの特徴=メンバーの誰かが新フレーズを繰り出す際,他の4人は以前の譜面通りに演奏している。この新鮮&安心感のバランスがツボ!

 この媚薬のブレンドは特に古い【LITTLE POP SUGAR】と【IT’S MAGIC】に顕著。昔の歌モノを現T−スクェアが最高音質で円熟の演奏で聴かせてくれる! これぞスクェア史上最強の【LITTLE POP SUGAR】と【IT’S MAGIC】!
 安心して乗れるし目新しさに熱狂できる。これらの最新アレンジがライブでも聴ける可能性があると思うと胸ワクワク! スクェア・ファンを続けてきて本当によかった! ただし【ハワイへ行きたい】だけはEWIではなくサックスでしょうが!!

TAKARANOUTA - T-SQUARE PLAYS THE SQUARE-4 「河野坂東時代」のT−スクェアは,ザ・スクェア時代の『宝曲』の上に存在している。逆に「河野坂東時代」のT−スクェアの活躍抜きに,ザ・スクェア時代の『宝曲』は輝けない。そのことをザ・スクェアT−スクェアの全ての時代を先頭に立って走ってきた安藤正容は熟知している。
 さすが安藤正容スクェアのリーダー。安藤正容の有する「客観的にバンドを見つめる選眼力」が野呂一生には足りなかった。

 正直に語ろう。これまで管理人は安藤正容に“スクェア愛”は感じなかった。
 しかし『宝曲(たからのうた) 〜T−SQUARE PLAYS THE SQUARE〜』を聴いて初めて,安藤正容の「河野坂東時代」のT−スクェアへの愛情を感じてしまった。
 「和泉時代」よりも「本田時代」よりも「松本時代」よりも「河野坂東時代」を愛している。そして「河野坂東時代」を愛するスクェア・ファンをも愛している。強くそう思う。

  01. OMENS OF LOVE
  02. 宝島
  03. ハワイへ行きたい
  04. LITTLE POP SUGAR
  05. TOMORROW'S AFFAIR
  06. MIDNIGHT LOVER
  07. ALL ABOUT YOU
  08. TRUTH
  09. 脚線美の誘惑
  10. DANS SA CHAMBRE
  11. IT'S MAGIC
  12. FORGOTTEN SAGA

(ヴィレッジ/VILLAGE 2010年発売/VRCL-10101)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
★【初回生産限定盤】3D BOXジャケット仕様
★音匠仕様レーベルコート

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)