PASSION FLOWER-1 『WORDLESS ANTHOLOGY 』は未発表であるが「スクェアの5期」が『GROOVE GLOBE』で区切られていた事実からすると「スクェアの6期」は間違いなく『PASSION FLOWER』からスタートする。

 安藤まさひろが『PASSION FLOWER』以降を「スクェアの6期」と区切った理由は,思うに「バンド形態の復活」であろう。

 スクェアの元メンバー・ベース田中豊雪の紹介で,2000年秋より「ユニット体制」のサポート・メンバーを務め上げ『SPIRITS』以降のレコーディング・メンバー=キーボード河野啓三が正式加入。
 『GROOVE GLOBE』では,すでにキーボード・プレイヤーの枠を超えて,作・編曲やコンピューター・プログラミングなどサウンド面において多岐にわたる貢献をしてきた河野啓三を正式メンバーとしてバンドに迎え入れたのは分かる。

 管理人が驚いたのは,ベース森岡克司が外されて,新ドラマー坂東慧が正式メンバー入りしたことである。森岡克司が外されて,河野啓三坂東慧が選ばれたのはなぜだろう?
 それこそ,安藤まさひろの思い描いた「スクェアの6期」のスタートである。キーワードは“真正”T−スクェアの復活である。

 和製リチャード・ボナ森岡克司の超絶技巧はスクェア・サウンドには不似合である。
 『GROOVE GLOBE』に続くサポート参加2作目の『PASSION FLOWER』を聴く限り,スクェア・サウンドに溶け込み,新風を吹き込み,スターとなってスクェアを去った2人の“天才”本田雅人松本圭司とも違ったアプローチ。森岡克司は初めからソロで行くべきだと思う。

 一方,河野啓三坂東慧の個性はスクェア再生にぴったり。いや,是非とも欲しい人材である。高い音楽性は当然のこと,最大の魅力は“根っからのスクェアっ子”にある。
 そう。河野啓三坂東慧の個性はスクェアを聴いて育った“スクェア世代”の大登場。 ← 過大表現にご注意を。
 “スクェア世代”の素晴らしい才能を持ったジャズメンが“憧れ”のスクェアに加入し“うれしさ大爆発”でスクェア本体を活性化してくれている。

 河野啓三こそ“スクェア世代の秘蔵っ子”である。河野啓三スクェアの曲を知り尽くしている。
 例えば,アルバムではフェードアウトしている曲をライブではどんなエンディングをつけて終わらせていたかなんて,執着心の薄い(よく言えばジャズ的な)安藤まさひろ伊東たけしも忘れているのに,河野啓三ときたら「198○年のどこそこのライブではこういうエンディングでした」と譜面に起こしてしまうんだとか…。素晴らしい“スクェア愛”である。

 坂東慧は小学生からのスクェアの大ファン。コピーしまくりでスクェアの曲なら譜面なしで全曲叩ける凄腕ドラマー
 『GROOVE GLOBE』までの“正”サポート・ドラマー則竹裕之の代役として出演したTV番組(テレビ朝日系「タモリ倶楽部」)がきっかけで“念願の”スクェア入り。何でもリハーサルでうろ覚えの曲を演奏したら,次第に1人抜け2人抜け…。最後に残る坂東慧ドラムだけってオチもついたそうで…。素晴らしい“スクェア愛”である。

 そんな“スクェア愛”に溢れる新メンバーを迎えて再スタートしたバンド形態復活作の『PASSION FLOWER』。『PASSION FLOWER』の第一印象は“メロウ”。良質な楽曲が積み重なる実にスムーズな展開である。
 フュージョンの特徴であるソロやテクニックのオンパレードではなく,T−スクェア本来の魅力であるメロディに重点を置き,よりポップにより聴きやすく! 爽やか系のスクェアが帰ってきた!

 『PASSION FLOWER』は,全曲もサラっと聴けてしまう“優等生な”CDなので,本田時代のスクェア・サウンドが好きな人には,少々物足りなさを感じると思う。しかし『PASSION FLOWER』は,繰り返し聴けば聴く程の味が出る例のアレである。この感じは偶然なのか,果たして必然なのだろうか,後期カシオペアと作風が類似している。どちらも一発のキャッチーさが薄れたアダルト路線。後から後からジワジワと音の深みが響いてくる。

 『PASSION FLOWER』はマジで良質。これは『NEW ROAD, OLD WAY』で変化し始めた,名コンポーザー=安藤まさひろの新境地。歌もの,ロックもので“J−フュージョン最高のメロディ・メイカー”の地位を確立した安藤まさひろのレパートリーに“ミディアムもの”が加わったCDになったと思う。

 バンドの再スタートに合わせて,メンバー・チェンジの激しかったスクェアならではの伝統=「新メンバーのフィーチャリング」も完全復活。河野啓三坂東慧の活躍次第では,スクェア久々の安定長期政権が到来しそうでワクワクしてしまう?

PASSION FLOWER-2 大注目なのが坂東慧ドラミング。新世代の坂東慧が今後,何度目かの新生T−スクェアの核を担っていくと思う。
 テクニシャンであった則竹裕之のフレーズを追う姿は“まだまだ”かもしれないが,坂東慧グルーヴするドラミングは,聴いて興奮するドラミングである。今後の坂東慧の成長を聴き続ける楽しみを感じさせる。

 サポート・メンバーの弊害か? スクェアの正式メンバーになっても河野啓三キーボードは“でしゃばらない”。裏方稼業に徹している? NO! 従来のスクェア・サウンドをカッチリ作っているように見えて,突然飛び出すファナティックなアドリブマイルス・デイビスが寵愛しそうなタイプのキーボード・プレイヤーだと思う。センスあるよなぁ。

 坂東慧作の【LET YOUR LOVE FLOW】【CLOUDBURST】がとにかく“歌っている”。これはコンポーザーとしてだけではなくアレンジャーとしての坂東慧の才能の賜物でもあろう。
 河野啓三作の【TEASIN’】も,これぞ“ONLY ONEな”スクェア・オリジナルの音世界。

 そしてスクェアが4人のバンド編成に戻って,スクェア・ファンの“密かな楽しみ”も復活した。そう。厚手のCDジャケット全20ページ。
 安藤まさひろの写真を見ると,最近まではポール・リード・スミス(USA)製のプライベートストックという一本モノを使っていましたが,今回はモズライトギターを手にしておられます。またまた新しいギターをゲットしたんですね。
 それから河野啓三のイケメンぶり。これは本田雅人同様の“ジャニーズ系”であります。

 最後に『PASSION FLOWER』買うなら「初回生産限定盤」を強くお奨めする。

 なんたって【KNIGHT’S SONG 〜GENERATION 3〜】である。今回はリード・ギターである。安藤さん,またまたギター上手になっています。懐かしのストさんのベースが聴けます。
 【ANGEL’S LOVE 〜T.K.VERSION〜】は本編9曲目【ANGEL’S LOVE】のサックスヴァージョン。管理人は断然,ソ・ヨンウンより伊東たけしです。

  DISC 1
  01. Barefoot Beauty
  02. More Than Lemonade
  03. Let Your Love Flow
  04. Surfin' U.S.S.R.
  05. Speechless
  06. Caribbean Love Affair
  07. Velvet Slumber
  08. Cloudburst
  09. Angel's Love
  10. Teasin'

  DISC 2
  01. Knight's Song 〜GENERATION 3〜
  02. Angel's Love 〜T.K. Version〜

(ヴィレッジ/VILLAGE 2005年発売/VRCL-10005-6)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
★【初回生産限定盤】ボーナスCD付 CD2枚組/DUOケース仕様

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