T-SQUARE-1 バンドの解散が決まってから行なわれる「ラスト・レコーディング」の気持ちとはいかばかりか? しかもそのラストCDのタイトルに「自分たちのバンド名を冠する」気持ちとはいかばかりだろう? 恐らくこれで最後,これが自分たちの音楽,という気負いがあるのだと思う。

 煮詰まったゆえの解散とは全く異なる,自分たちの音楽への誇りが120%の力を引き出す「ラスト・レコーディング」。T−SQUARE,バンド形態の最終作にして初のセルフ・タイトル『T−SQUARE』(以下『T−スクェア』)はそのようなCDである。
 そう。『T−スクェア』には,T−スクェア自身が考えるT−スクェアの音楽性が詰まっている。

 以下は,管理人が『T−スクェア』を聴いて考えた「2000年のT−スクェア」の音楽性である。

 第一印象は“T−スクェアDIMENSION化”である。“キャッチーなバンド・サウンド”と言うよりは“メロディアスなセッション”っぽい感じ。またまたスクェア・サウンドが変化している。「2000年のT−スクェア」は“松本時代”に突入していた。

 『T−スクェア』では,前作『SWEET & GENTLE』で,サポート・メンバーなのに大物ゲスト並みにフィーチャリングされていた松本圭司が正式加入。演奏は相変わらず凄い。引き出しの多さがとめどない。サポートと正式メンバーの違いは楽曲提供。松本圭司が12曲中5曲を提供している。
 松本圭司の楽曲はエグイ。1回聴いただけではスーッと頭に入ってこない。でも2度3度と聴き込み松本圭司の手の内が明らかになるにつれ「スゲー,カッコイイ → 何このハイセンス → 松本圭司は天才だ」へと変化する。この感触がDIMENSIONに似ているのだ。

 しか〜し,ここからが『T−スクェア』の真骨頂。5回10回と聴き込むにつれ,要所要所で安藤まさひろギターを痛感する。そう。松本圭司が無意識のうちに安藤まさひろギターを逆フィーチャリング。恐るべし安藤マジック
 “天才”松本圭司の個性を取り入れつつ“王道のスクェア・サウンド”は崩さない。これこそ20年のバンド運営で培った“T−スクェアのアイデンティティ”なのであろう。
 スクェアというフュージョン・バンドは,インプットは新メンバーの個性や時代の波を積極的に取り入れるも,アウトプットは頑固なまでに安藤まさひろ一本やり。安藤まさひろだけが有するフィルターを通された音こそT−スクェアの音。“T−スクェアのアイデンティティ”=安藤まさひろその人なのである。

 事実『T−スクェア』の収録曲はバラエティに富んでいる。後日発売『WORDLESS ANTHOLOGY 』のライナーノーツを読んで合点がいった。 「『T−スクェア』はビートルズの『ホワイトアルバム』みたいにしたかった」と書かれていた。

 ビートルズの『ホワイトアルバム』は,メンバー各自が好き勝手に作ったことで名を馳せる名盤。そう。『T−スクェア』もノーコンセプト。安藤まさひろが「自分が責任を取るから」と,メンバー各自に好き勝手に演らせている。
 このバラバラ加減が「2000年のT−スクェア」の音楽性であり“メロディアスなセッション”へと通じている。

T-SQUARE-2 安藤まさひろは大したものだ。「2000年のT−スクェア」の音楽性を更に推し進めるべく?T−スクェアは『T−スクェア』を最後にバンド形態を解消する。
 そう。バラバラ加減MAX→バラバラのソロ活動へ。

 正直“松本時代”のT−スクェアをもっともっと聴きたかった。好きだったし期待していたし…。
 宮崎隆睦松本圭司は運が良いのか悪いのか? T−スクェアへの加入で名を売ったのはプラスだが在籍年数の少なさでマイナス評価。名を挙げるチャンスが途絶えたのが惜しまれる。

 “松本時代”の続きは「ニセスクェア」=『MASATO HONDA with VOICE of ELEMENTS』でどうぞ!

PS 『T−スクェア』を,そして松本圭司を“イマイチ”と思っているT−スクェア・ファンの読者の皆さん! 騙されたと思って,是非,ヘッドフォンで『T−スクェア』を聴き直してみてください。実に細かい音造りに驚き,松本時代のハイセンスに開眼できるかも? まっ,管理人も『T−スクェア』は「いいではなく凄い」と思う口ですが…。松本時代は『SWEET & GENTLE』を楽しむことにしましょうよっ。

  01. A DREAM IN A DAYDREAM
  02. MAN ON THE MOON
  03. ca et la
  04. OUR FORTRESS
  05. ALE-LEYAH-YAH
  06. AN EVENING GLOW
  07. A NITE WITHOUT MEMORY
  08. TAKING MOUNTAIN (TOPS)
  09. CALLING THROUGH THE AGE OF TIME
  10. (DON'T ASK ABOUT) MEANING OF KISS
  11. A DREAM IN A DAYDREAM (REPRISE)
  12. BELFAST SONG

(ソニー/SONY 2000年発売/SRCL4794)

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