WORLD LIVE '88-1 カシオペアが1988年に敢行した世界5ヵ国でのライブ=ブラジル〜オーストラリア〜日本〜メキシコ〜アメリカの「ワールド・ツアー」のアルバムには2種類ある。

 VHS版『JOIA 〜CASIOPEA WORLD TOUR〜』(以下『ジョイア! カシオペア・ワールド・ツアー』)が,その映像盤であれば『ワールド・ライブ ’88』は,同音源のCD盤! そう。ダイナミックで臨場感ある『ジョイア! カシオペア・ワールド・ツアー』があれば『ワールド・ライブ ’88』は「無用の長物」である。
 しかしそこは商魂たくましい。まず『ワールド・ライブ ’88』を発売し“後だしジャンケン”として『ジョイア! カシオペア・ワールド・ツアー』が発売された。よって管理人はCD&VHS共に購入と相成ってしまう。

 しかしそれでも“ニンマリ”してしまう「ファン心理」とは末恐ろしい。その理由の一つは『ワールド・ライブ ’88』には『ジョイア! カシオペア・ワールド・ツアー』未収録の【ACCESS】が収録されているから。
 ん? 『プラティナム』のCD批評で【ACCESS】を駄曲と斬っていたのでは? そうです。【ACCESS】は駄曲です。でもでも『ワールド・ライブ ’88』収録の【ACCESS】は「HORN SPECTRUM & TOPS HORN」の“スペシャル・ホーン入り”なのです。このバージョンはいい〜。

 というのも,残念ながら88年のよみうりランドEASTには行かなかったが,87年のよみうりランドEASTには行った。その時も“スペシャル・ホーン”が来ていて,あの時の感動がよみがえってくるのだ。向谷さんの「ホーンが気持ちいい」のMCを覚えている。
( ※もしからしたら管理人の記憶違い? 88年のライブにも行ったのかも? 楠木勇有行の「COKE IS IT!」も覚えている。果たして,2年連続“スペシャル・ホーン”がゲスト出演したのでしょうか? ご存知の方々へ「HELP ME!」です。)

 さて『ジョイア! カシオペア・ワールド・ツアー』があれば「無用の長物」である『ワールド・ライブ ’88』であるが,では『ジョイア! カシオペア・ワールド・ツアー』なしの人にとってはどうか?
 ズバリ,買いである! 理由は大好きな名盤ユーフォニー』のツアーだから! いや「AURA」時代のカシオペアとしては“唯一の”ライブ盤だから!

 『ワールド・ライブ ’88』を聴き通して感じるのは,世界5ヵ国でのライブの割りには,カシオペアの演奏には“世界の温度差”がないことである。
 「聴衆の盛り上がりに反応するタイプ」のカシオペアだけに,その点を不思議に思ってしまった。あっ,そうか。どの会場も盛り上がったのかぁ。← 自爆
 きっと『ジャイヴ・ジャイヴ』のライナーノーツ青木誠氏の名文「日本の聴衆だろうとロンドンの聴衆だろうとカシオペア・ファンならおなじ顔に見えるらしい」の再現だったのだろう。

 しかし「アドリブログ」の読者は,その“微妙な違い”を知りたいはず? 以下,世界5ヵ国別のプチ批評で〜す。

 【太陽風】【RED ZONE】はブラジル公演収録。ブラジル公演は1987年に続いて2回目。ブラジル大好き=桜井哲夫チョッパー・ベースが凄まじい。特筆すべきは野呂一生アドリブの出来である。透明感あるライトハンドが実に素晴らしい。
 【PRINCESS MOON】はオーストラリア公演。まだオーストラリアではプロモーションされていないためか“丁寧な演奏”という印象を受ける。ロマンティックな【PRINCESS MOON】の美メロが,カシオペアのトレードマークとしてすり込まれるとうれしいな。桜井哲夫ベース・ソロまでもがメロディアス仕上げである。
 【いにしえ】【SOLID SWING】はメキシコ公演。レコード未発売のメキシコでの初ライブとは思えない盛り上がり! 神保彰はヒーローである。高地での演奏とは思えない“爆発力”に観客も盛り上がっている。世界レベルで絶賛されるカシオペア神保彰の証明であろう。
 【MAGNETIC VIBRATION】【迷夢】はアメリカ公演。お馴染みのアメリカ。お馴染みのLA。しかしワールド・ツアーでは一番小さな箱=ライヴハウス「ロキシー」でのライブ。ステージと観客の距離感がダイレクトに演奏に出ている。
 そしてカシオペアが“ワールド・ツアー”で来日した?ジャパン。日本公演が最高である。【DO−LOO−DOO?】【BAYSIDE EXPRESS】【SUPER SONIC MOVEMENT】【ACCESS】が華やか! やはり“スペシャル・ホーン”は楽しい。あのままホーン入りでジャズ寄りに路線変更していれば…。
 【SUPER SONIC MOVEMENT】における“ライブ随一の楽しみ”であるジンサクによるドラム・ソロ&チョッパー・ベース・ソロは聴き応え・ありありである。

WORLD LIVE '88-2 最後に管理人の結論=『ワールド・ライブ ’88批評

 『ワールド・ライブ ’88』は,カシオペア・ファンの“逆お宝”である。
 完璧主義の野呂一生には珍しくミス・タッチがそのまま記録されている。通常ならお蔵のところをOKしたのは,一発勝負の「ワールド・ツアー」のドキュメンタリー!(誤解なさらないように。カシオペアのミス・タッチは芸術レベル!)
 これぞ“素の”カシオペア。“普段着の”カシオペア。初めて訪れる国・会場・観客の違いに,手探り状態の緊張感が感じられる。
 マンネリズムで内部分裂前の緊張感を失っていたカシオペアが,久しぶりに本気で演奏している姿が愛らしい。実に微笑ましい。く〜っ!

  01. DO-LOO-DOO?
  02. BAYSIDE EXPRESS
  03. 太陽風 (TAIYO-FU☆THE WIND FROM THE SUN)
  04. RED ZONE
  05. PRINCESS MOON
  06. いにしえ (INISHIE☆OLD TIMES)
  07. SOLID SWING
  08. MAGNETIC VIBRATION
  09. 迷夢 (MEI-MU☆SHALLOW DREAMS)
  10. SUPER SONIC MOVEMENT
  11. ACCESS

(ポリドール/AURA RECORDS 1988年発売/H33P-20285)
(ライナーノーツ/後藤俊介)

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