2010年03月12日
カシオペア / カシオペア
向谷実が,バンド名をそのままデビューCDのタイトルにした“安直な”CDと紹介する“我らが”カシオペアのデビューCD『CASIOPEA』(以下『カシオペア』)!しかし“安直な”ネーミングとは裏腹に“凝りに凝った”カシオペア・サウンドは,カシオペア歴代のCD群の中でも“屈指のアレンジ”がまばゆい1枚である。
秘密はアル・シュミット・マジックにある?(【タイム・リミット】【ティアーズ・オブ・ザ・スター】【ミッドナイト・ランデブー】【ブラック・ジョーク】と何度もリメイクされた“定番曲”が収録されているが,特に【スペース・ロード】は『CASIOPEA』収録テイクが史上最強の「トンガリ」で大好きである)。
『カシオペア』の聴き所は,メンバー全員の「元気ハツラツ,オロナミンC」的な快演にある。
狙いはジャケット写真やインナー・スリーヴにある,スピード&スリリング! モーター・スポーツのテーマ曲よろしく「限界まで攻めに攻めまくった」快演が実に爽快である。
カシオペアの“最大の売り”は,世界のコンポーザー=野呂一生の才能爆発にあるのだが,デビュー当時の演奏は「メロディのためのテクニック」というよりも「テクニックのためのメロディ」であって,アドリブと早弾きに命をかける,メンバー全員の“自己顕示欲”が表われている。
そう。『カシオペア』は,マイクを楽器に持ち替えた,野呂一生+向谷実+桜井哲夫+佐々木隆によるカシオペア版NHK「青年の主張」なのである。 ← ふる〜い。
キャッチーでメロディアスな野呂一生のメロディ・ラインを,超絶技巧のギター,キーボード,ベースと,ちょっと遅れ気味の?ドラム(佐々木隆さん,辛口ですみません。でも私は佐々木隆さんの“ド派手な”シンバル・ワークは神保さんより好きなんですよっ)が“一丸となって”駆け抜ける!
最初の一音から最後の一音までノン・ストップ! 演奏途中でゲスト参加する,ブレッカー・ブラザーズとデヴィット・サンボーンのために特別に用意された“大仕掛けなトラップ”が華麗に機能する! これは「音の大道芸術」作と呼んでもいい。
「音の大道芸術」=『カシオペア』は,ソロ・パートも含めて相当緻密にアレンジされてからレコーディングを迎えたのではないかと思う。練習を重ね,練りに練られた“完璧なアドリブ”が,今となっては“かわいい”汚点であろう。
よく出来た感・頑張った感アリアリの“力ずく”で“ゴリ押し”な快演。ミス・タッチなどどこ吹く風で吹き飛ばす“破天荒”な名演である。
もう2度とカシオペア自身も『カシオペア』のような名盤を生み出せやしない。パット・メセニーが2度と『想い出のサン・ロレンツォ』を作れないのと同様である。そう。カシオペアのデビューCD『カシオペア』の真実とは,野呂一生,向谷実,桜井哲夫,佐々木隆の“若気の至り”である。「♪あの頃君は若かった〜」。
01. Time Limit
02. Tears of The Star
03. Space Road
04. Midnight Rendezvous
05. Far Away
06. Swallow
07. Dream Hill
08. Black Joke
(アルファ/ALFA 1979年発売/VRCL-2201)
(ライナーノーツ/津田明子,藤井英一)
★【初回生産限定盤】ミニLP紙ジャケット仕様
(ライナーノーツ/津田明子,藤井英一)
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