WOW-1 『WOW』(以下『ワウ』)を語る時,大西順子の“最高傑作”なる修飾語が尾ひれについてくるが,それは世評の誤りである。

 『ワウ』は,ズバリ“流行最先端の”スイングCDである。デューク・エリントンセロニアス・モンクオーネット・コールマンというジャズの個性派に憧れるだけあって,大西順子ジャズ・ピアノには感嘆してしまう。

 しかしこの驚きはジャズの歴史への造詣の深さから感じる種類のものである。そう。『ワウ』の真実は,大西順子・プレゼンツ「ジャズ・ジャイアンツ」へのトリビュート作である。

WOW-2 『ワウ』で,大西順子は過去の自分を総括しているように思えてならない。すでに大西順子オリジナルの香りもするが,まだ薄い。

 “流行最先端の”スイングで偉大な過去にケジメをつけた大西順子ジャズ・ピアノは,この後,新境地を切り開くべくぐんぐん成長していく〜。

  01. THE JUNGLAR
  02. ROCKIN' IN RHYTHM
  03. B-RUSH
  04. PROSPECT PARK WEST
  05. POINT-COUNTER-POINT
  06. BRILLIANT CORNERS
  07. NATURE BOY
  08. BROADWAY BLUES

(サムシンエルス/SOMETHIN'ELSE 1993年発売/TOCJ-5547)
(ライナーノーツ/藤本史昭)
★スイングジャーナル誌選定【ゴールドディスク】
★★1993年度(第27回)ジャズ・ディスク大賞【日本ジャズ賞】受賞

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