『HANK MOBLEY WITH DONALD BYRD AND LEE MORGAN』の4曲目は【MOBLEYMANIA】(以下【モブレーマニア】)。

 凡庸な演奏の【モブレーマニア】に「よくぞこんなタイトルを付けてくれた」である。
 テーマとセクステット全員のソロ廻しだけで構成される演奏だが【モブレーマニア】は【モブレーマニア】。ハンク・モブレーアドリブを聴いて,喜べれば【モブレーマニア】で,そうでなければ【モブレーマニア】ではないという「踏み絵」のようなトラックである。

 ジャスト4分00秒から始まるテナーソロの何とも“丸い音”と“歌心”の中に「ハンク・モブレーの全て」がある。
 ハンク・モブレーアドリブを聴いて,そこから何を抽出するできるか?が【モブレーマニア】になれるかどうかの分かれ道。

 ワンホーンのハンク・モブレーを幾ら聴き込もうとも「絶対に分からない」,テナーソロを吹き上げて,曲全体の“ハーモニー&アンサンブル”を広げる能力の高さに感心させられる。
 …と同時に,ハンク・モブレーの“丸い音”と“歌心”に「2管3管の名テナー」としての可能性に一早く気付いたのが,これまたアート・ブレイキーホレス・シルヴァーだったという事実を思い出しては感心してしまう。

 
HANK MOBLEY : Tenor Sax
DONALD BYRD : Trumpet
LEE MORGAN : Trumpet
HORACE SILVER : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
CHARLIE PERSIP : Drums

HANK MOBLEY WITH DONALD BYRD AND LEE MORGAN-1
HANK MOBLEY WITH DONALD BYRD AND LEE MORGAN
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION



歴代誌第一8章 ベニヤミンの子孫
DIMENSION 『FOURTH DIMENSION