2009年04月20日

ブライアン・ブロンバーグ / ポートレイト・オブ・ジャコ5


ブライアン・ブロンバーグ/ポートレイト・オブ・ジャコ ジャズメンにとって,トリビュート・アルバムの製作は,そのジャズメンをオマージュとして,自分自身を見つめ直すことである。そのジャズメンからの拭い去れない影響を意識しながら,自分自身のアイデンティティを確立する作業なのである。
 その結果,出来上がったトリビュート・アルバムは「私は誰々からの影響を受けてこんなジャズメンに育ちました」という“自己紹介盤”であって,単なる誰々の楽曲集ではないはずだ。
 しかし,自己紹介にはある種の恥ずかしさがつきまとう。ストレートに,ありのままの自分を語る難しさ…。TVでのものまね芸人よろしく,単なる完コピでは?

 さて,ブライアン・ブロンバーグの『PORTRAIT OF JACO』(以下『ポートレイト・オブ・ジャコ』)である。『ポートレイト・オブ・ジャコ』は,現代のベース・マイスターの1人=ブライアン・ブロンバーグによる,ジャコ・パストリアスへ捧げた,正真正銘のトリビュート・アルバムである。
 このトリビュート・アルバムが凄い。ジャコパスジャコパス“らしい”フレーズは出てこない。しかし,どこを聴いてもジャコ・パストリアス“らしさ”を感じてしまう。そう。『ポートレイト・オブ・ジャコ』は,表面上はブライアン・ブロンバーグのソロCDであるが,実質的にはジャコ・パストリアスのソロCDだと言い切ってしまおう。
 “サポート・ベーシスト”に徹したブライアン・ブロンバーグの超絶ベース・ソロは,全編ジャコパスへの愛で満ち満ちている。ジャコパス愛が溢れ出している。
 『ポートレイト・オブ・ジャコ』におけるブライアン・ブロンバーグの主張はただ一つ,俺は“世界一”ジャコ・パストリアスが大好きなんだ〜,という叫び声である。

 欧米人は「他人と同じであってはならない」という文化を有している。その上で“ジャコパス丸出しの”トリビュート・アルバムを完成させたことに意味がある。思うに『ポートレイト・オブ・ジャコ』によって,ブライアン・ブロンバーグジャコ・パストリアスを“背負う”決意を固めたのではなかろうか? そう。『ポートレイト・オブ・ジャコ』は,ブライアン・ブロンバーグ自身による「現代のジャコパスへの化身宣言」であろう。管理人はブライアン・ブロンバーグのこの勇気にいたく感動してしまった。

 もし,ジャコ・パストリアスが今も生きているなら,このメンバー(アレックス・アクーニャボブ・ミンツァー等)と共演したなら,ピッコロ・ベースを,ウッド・ベースを弾いたとしたら…。
 ジャコパス・ファンのその願いをブライアン・ブロンバーグが全て適えてくれる。ファン最大の願いである,師匠=ジャコ・パストリアスと,弟子=ブライアン・ブロンバーグの共演を一人二役で適えてくれる。そう。『ポートレイト・オブ・ジャコ』最大の聴き所は,ジャコ・パストリアスブライアン・ブロンバーグのシンクロにある! ブライアン・ブロンバーグ独自のフレーズにも,ジャコ・パストリアスの“天才”ベースの面影が見え隠れしている。

(2001-2002年録音/KICJ428)
(★低音シリーズ ライナーノーツ/ボビー・コロンビー,松下佳男)

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この記事へのコメント
1. Posted by BLUE LIFE   2009年04月21日 17:31
「エヴァンスに似ていてもいいじゃないか、だってエヴァンスは素晴らしいんだから。」という誰かのコメントを思い出してしまいました。
2. Posted by セラビー   2009年04月21日 18:06
BLUE LIFEさん,コメントありがとうございます♪
ブライアン・ブロンバーグ曰く「ジャコパスに似ていてもいいじゃないか,だってジャコパスは素晴らしいんだから」ですよね。
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