『TALES OF ANOTHER』の1曲目は【VIGNETTE】(以下【ヴィネット】)。


 【ヴィネット】を聴いてイメージするのは“嵐の前の静けさ”である。いや,ジャック・デジョネットの叩き出すパーカッションが,すでに暴風雨を予感させる“風の音”である。そう。まだ窓を打ち叩く風音だけで雨は降り出していない。【ヴィネット】は“ただならぬ何かを”予感させる静けさに包まれている。

 全編“たんたんと”演奏が流れていく。この最大要因こそ,超硬質なレガートを静かに刻み続けるジャック・デジョネットの職人的なドラミング! ゲイリー・ピーコックキース・ジャレットの“平然と歌う”コード進行の後ろで“コツコツと”いい仕事をこなしている。この抜群のセンスがキース・ジャレット“お気に入り”の所以であろう。

 4分15秒からのゲイリー・ピーコックベース・ソロは“スカスカ”で軽すぎ。ここはチャーリー・ヘイデンばりに奥深く潜ってほしかった。
 【ヴィネット】では,100%サイドメンとしての役割に徹したキース・ジャレットピアノに“ケルン”を感じてしまうのは,私だけ?

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GARY PEACOCK : Bass
KEITHJARRETT : Piano
JACK DeJOHNETTE : Drums