『FOREST FLOWER』の5曲目は【EAST OF THE SUN】(以下【イースト・オブ・ザ・サン】)。

 【イースト・オブ・ザ・サン】を聴けば,その当時,飛ぶ鳥落とす勢いで一世を風靡した「チャールス・ロイド・カルテット」の人気の秘密が理解できる。そう。【イースト・オブ・ザ・サン】は,名手4人の“濃密な絡み合い”が圧巻の大名演である。

 “早口でまくし立てる”チャールス・ロイドテナーサックスが疾走する! これは凄い。どれほどの凄さかと言うと,あのキース・ジャレットが1分4秒,1分47秒,2分39秒で自分のソロでもないのに唸り声を上げている。
 2分14秒から33秒までの大ブローは,チャールス・ロイドにしては珍しいトーン。聴き応えがある。

 4分46秒からのキース・ジャレットの高速アドリブが実に素晴らしい! あのパッセージを浴びせられたロイドマクビージャックの3人も“悶絶”しながらよく演奏を続けられたものだ。
 アクロバティックで予測不能な熱演が続くが,最後には“キッチリ”まとめ上げる,これぞキース・ジャレットの構成力! 全部いいが,とりわけ6分17秒以降のギミックな感じが素晴らしい!

 7分24秒からのベースソロは,セシル・マクビーの個性が炸裂している。
 テーマを独演しつつ次第にスライドを絡めたアドリブへと突入するのだが,8分21秒以降の“弦の響き”が超ユニーク! 腰をくねらせのたうちまわり,ついにはとろけてしまう。

 しか〜し【イースト・オブ・ザ・サン】最大の聴き所は,ラスト10分19秒からのわずか3音! 普段は“天才”キース・ジャレットの陰に隠れがちなチャールス・ロイドであるが,あの瞬間に至っては「チャールス・ロイド・カルテット」のリーダーは,間違いなくチャールス・ロイド“その人”である!

 
CHARLES LLOYD : Tenor Sax, Flute
KEITH JARRETT : Piano
CECIL McBEE : Bass
JACK DeJOHNETTE : Drums

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FOREST FLOWER
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ゼパニヤ書3章 清い言語に変わる
塩谷哲 『トリオっ!