『BRAIN』の1曲目は【KUNG-FU WORLD CHAMPION】(以下【カンフー・ワールド・チャンピオン】)。


 上原ひろみによる,ブルース・リーとジャッキー・チェンへのオマージュである【カンフー・ワールド・チャンピオン】は,愛用のシンセサイザー「ノードリード」を駆使した,テクノポップ・ジャズ
 このスピード感は,確かに【カンフー・ワールド・チャンピオン】にふさわしい。ただし惜しまれるのはアレンジである。

 【カンフー・ワールド・チャンピオン】が持つスピード感を“強調するためだけに”シンセを使用しているとしたら残念でならない。上原ひろみほどのテクニシャンであるならば,生ピアノ一台でも十分に緩急利かせた演奏ができるに違いないのに…。
 そう。敢えてシンセを使う意図が見えてこないのだ。管理人が『アナザー・マインド』で挫折した原因ともつながるが,どうも上原ひろみのエレクトリック・サウンドとは相性が良くない。何度聴いてもレーシング・ゲーム用のBGMに聴こえてしまう。大好きな上原さん,今回は辛口批評でごめんなさいねっ。 

 管理人同様,電化ひろみの挫折体験を持つ読者の皆さんに,老婆心で攻略法を一つ伝授しよう。
 【カンフー・ワールド・チャンピオン】は,6分22秒からの徐々にテンポ・アップするラストのワン・フレーズを繰り返し聴き込むべし。メロディ・ラインのツボを覚えてしまうと,レーシング・ゲームのBGMを越えた“カンフー・ワールド・チャンピオン”ゲームのBGMに変化する!?

 それにしても必死に上原ひろみに喰らいつく,超絶ベーシストアンソニー・ジャクソントニー・グレイの頑張りが素晴らしい。

HIROMI UEHARA : Piano, Keyboards
TONY GREY : Bass
MARTIN VALIHORA : Drums