『PEPPER JAM』の2曲目は【OVER THE RAINBOW】(以下【虹の彼方に】)。


 【虹の彼方に】でのアート・ペッパーが力強い。強い精神性を感じてしまう。うん。説得力が増し加わっている。「黙ってこの名曲を聴いてみろ」と言わんばかりの大迫力である。

 ライブであるにも関わらず,アート・ペッパーが“ガチガチ”に【虹の彼方に】のイメージを創り込んでいる。いや。これぞ“天才”インプロヴァイザーの面目躍如と褒めるべきであろう。
 この音世界,あるいは無類のアート・ペッパー好きにとっては【虹の彼方に】は“たまらない”名演なのだと思う。

 しかし管理人としては“ガチガチ”の【虹の彼方に】は御免被りたい。理由はリスナーが入り込む余地が残されていないから。ほらっ,どんな大好物でも無理矢理口に入れられては食べる気など無くしてしまうでしょ?
 特に中盤から後半にかけてはアルトが吹きすぎているかなぁ。4分21秒からの大絶唱は「凄い」とも思うが,同時に耳が痛い。抑揚の「抑」が“アゲアゲ”では感動などできません。

 それで【虹の彼方に】を聴いていて気付いたことがある。無意識のうちにブッチ・レイシーエレピを耳で追う自分発見である。
 そう。ブッチ・レイシーの“ほんわか”エレピが「虹の癒やし」を与えてくれる。この美しい余韻が,豪腕=アート・ペッパーの“とげとげしさ”を中和してくれている。

ART PEPPER : Alto Sax
HAROLD LAND : Tenor Sax
BUDDY COLLETTE : Tenor Sax
BLUE MITCHELL : Trumpet
BUTCH LACY : Electric Piano
JEFF LITTLETON : Bass
JIM PLANK : Drums