PORTRAIT − YOSHIKO KISHINO BEST SELECTIONの1曲目は【FAIRY TALE】(以下【フェアリー・テイル】)。

 「おとぎ話」という意味の【フェアリー・テイル】によって「おとぎの国」=木住野ワールドへの扉が開かれる! そこは実に美しいピアノの「おとぎ話」。雄大な音空間の美であり,ハーモニーの美である。

 ビル・エヴァンスを徹底的に研究してきた木住野佳子と,ビル・エヴァンス・トリオの最後のベーシストマーク・ジョンソン。【フェアリー・テイル】は,木住野佳子を介して実現した,エヴァンスジョンソンの15年振りの“仮想”夢の共演である。

 木住野佳子の繊細なピアノが清々しい。優しく身体に馴染んでくる。この灰汁のない響きこそ木住野佳子の真骨頂である。
 テーマで絡み合いながらも低音で“突き上げてくる”マーク・ジョンソンが流石である。このスコット・ラファロ風=自由な跳ね馬ぶりが好みであるが,一方でピアノ・ソロでのバックで的確にリズムを刻むチャック・イスラエル風の安定したベース・プレイも聴き逃せない。
 
 3分59秒からのマイケル・ブレッカーテナー・ソロこそ「おとぎ話」の美しさ! 【フェアリー・テイル】にゲスト参加で花を添えるつもりが,木住野佳子の快演に一歩も後へ引けなくなったという感じ? 本気で骨太の“マイケル節”が炸裂している。
 ピーター・アースキンロジャー・スキテロの控え目ながらも華やかなドラムパーカッションも存在感たっぷりで素晴らしい。

 
YOSHIKO KISHINO : Piano
MARK JOHNSON : Bass
PETER ERSKIN : Drums, Percussion
MICHAEL BRECKER : Tenor Saxophone
ROGER SQUITERO : Percussion

PORTRAIT - YOSHIKO KISHINO BEST SELECTION-1
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