アナログレコード

 「音を楽しむ」と書いて「音楽」。その意味で,ジャズフュージョンで一番「音楽」しているのは“ビッグ・バンド”であろう。

 …と,管理人が“ビッグ・バンド”について肯定的に語れるようになったのはここ4,5年のこと。
 現代はビッグ・バンドにとっての暗黒時代。とりわけ日本のジャズ・ファンの多くが“先天性”のビッグ・バンド・アレルギーを抱えている。これ本当の話。
 アドリブ大好きな管理人がアレンジに魅了されるなど経験上有り得ない。重く動きの鈍いビッグ・バンドはNGワード。長らくそう思っていた。TOKYO FM系『ジェット・ストリーム』を愛聴しているせいなのか“ポール・モーリア系”ビッグ・バンドがかかった瞬間“秒殺”で眠くなる。ビッグ・バンドは管理人にとって「子守唄」でしかなかった。
 そう。あの瞬間“目から鱗が落ちる”までは,ビッグ・バンドは「音楽」ではなく「音が苦」であった。

 しかし,ひょんな拍子にビッグ・バンドの“眠眠打破”を手に入れた。それが「サド・ジョーンズ=メル・ルイス・ジャズ・オーケストラ」の『CENTRAL PARK NORTH』(以下『セントラル・パーク・ノース』)である。「サド・ジョーンズ=メル・ルイス・ジャズ・オーケストラ」の『セントラル・パーク・ノース』に関しては,聞くと眠くなるどころか“ギンギンに”目が耳が冴えてくる!
 いや〜,これはご機嫌だ。これは楽しい。ビッグ・バンドの本質は「音を楽しむ」「音楽」であった。

 ひょんな拍子に,と書いたが,これは中古CD屋の半額セールでGETのこと。ねっ,いかにビッグ・バンドに無関心だったかが分かるでしょ? そんなビッグ・バンド・アレルギー持ちの無関心野郎,そのくせモダン・ジャズには口うるさい,典型的日本のジャズフュージョン・ファンを黙らせ,狂喜させ,ついには“ビッグ・バンド肯定派”へと変化させたのだから『セントラル・パーク・ノース』は徒者ではない! これぞ超強力なジャズ・ファンク・ロック・ビッグ・バンド! 後にブレイクするブラス・ロックの特徴=「タテノリ+スイング」の先駆け的CDである。
 こんなロック寄りのビッグ・バンドがあったとは露知らず。一度ハマルとこの“分厚さ”が快感! ソロやトリオでは絶対に表現しきれない,圧巻の音世界がビッグ・バンドには存在する! 欲しい音が欲しい音色で鳴っている。実にゴージャス! “天才”キース・ジャレットパット・メセニーが“逆立ちしても”表現できっこない,この人海戦術が実にお見事! 絶賛の嵐であろう。

 しかし,管理人の基本はモダン・ジャズ! 「サド・ジョーンズ=メル・ルイス・ジャズ・オーケストラ」に“ハマッタ”真の理由はメンバー各人の優れた演奏力にある! この秘密を解き明かすべく『セントラル・パーク・ノース』購入後「サド・ジョーンズ=メル・ルイス・ジャズ・オーケストラ」について調べまくってみた。
 結果,キーワードは「リハーサル・オーケストラ」と「マンディ・ナイト」。そう。普段はスタジオワークやブロードウェイでオーケストラ演奏をしている“玄人”たちが,休日の夜=「マンディ・ナイト」に楽しむビッグ・バンド=「リハーサル・オーケストラ」。なるほどねぇ。
 いるわいるわのビッグ・ネームの大集団! サド・ジョーンズメル・ルイススヌーキー・ヤングジョー・ファレルローランド・ハナリチャード・デイビス等,総勢19名。なるほどぇ供

 そう。このビートにこのアレンジ。時折混じるソロイストの確かな演奏力。管理人同様,他のビッグ・バンドで撃沈された人でも大丈夫。「サド・ジョーンズ=メル・ルイス・ジャズ・オーケストラ」だけは大丈夫。きっともっと“ビッグ・バンド”が好きになる。

(1969年録音/TOCJ-9458)

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