『CHET BAKER & CREW』の1曲目は【TO MICKEY’S MEMORY】(以下【トゥ・ミッキーズ・メモリー】)。


 【トゥ・ミッキーズ・メモリー】は,ウエスト・コーストの人気者=ミッキーマウスへのメモリー。しばらくカリフォルニアを離れる決意を固めた時,ふと,ディズニーランドが脳裏をよぎったか?
 ミッキーマウスとのメモリーは全てが楽しい。そう。【トゥ・ミッキーズ・メモリー】=ゴキゲンのノリノリ・エスニック系である。

 クロマティック・ティンパニーが効いている! 3分5秒からのティンパニーソロが【トゥ・ミッキーズ・メモリー】のハイライト!
 チェット・ベイカーがミッキーマウスなら,ビル・ラフブロウはドナルドダック! ラテン・サンバのリズムで踊っている!

 白人ドラマーピーター・リットマンを「サンド」した,ボビー・ティモンズジミー・ボンドによる「オレオ」なリズム隊が,西海岸でハード・バップしている! このリズムはNYには存在しない“新種の”グルーヴである。

 そこへウエスト・コースト・ジャズ“そのまんま”のフロントが乗っかってくる! フィル・アーソが爽快にして滑らかな“波乗り”を聴かせれば,チェット・ベイカーは躍動するリズムの波を“かき分けかき分け”ダイナミックに疾走する!
 4分27秒からのエンディングでの大合唱は,ハード・バッパーへのモデル・チェンジを試みた,チェット・ベイカーの努力が形として結実した瞬間であろう。

CHET BAKER : Trumpet
PHIL URSO : Tenor Sax
BOBBY TIMMONS : Piano
JIMMY BOND : Bass
PETER LITTMAN : Drums
BILL LOUGHBROUGH : Chromatic Tympani