『NOW’S THE TIME』の2曲目は【LAIRD BAIRD】(以下【レアード・ベアード】)。


 【レアード・ベアード】は,韻を踏んだ曲名と同じく,韻を踏んだ演奏(語尾のキメ・フレーズの繰り返し)が素晴らしい。
 【レアード・ベアード】には“例の”高速アドリブに耳を這いつくばらせて聴かなくてもいい,和やかな雰囲気がある。おおらかで楽しい,チャーリー・パーカーの“クール”な演奏に,聴き手もリラックスさせられる。

 【レアード・ベアード】でのチャーリー・パーカーは,12小節のテーマ → 次の12小節でフェイク → 何だかうやむやなうちにアドリブ・パートに突入していくが,チャーリー・パーカーにしては珍しく,自分からは行かない。
 時折,思わず倍テンポになる瞬間もあるが,基本的に落ち着き払った,こぢんまりとまとまった印象である。

 そう。管理人は大袈裟かもしれないが,この【レアード・ベアード】を聴き込むにつれ,チャーリー・パーカーは人生の晩年の瞬間に“木鶏”の境地に達したのだと思うようになった。(“木鶏”とは,中国の故事「荘子」に収められている有名なお話です。関心のある方はご自分で調べてみてください。なるほど,ですよ)。

 自分では行かず,続く3人の短めのアドリブハンク・ジョーンズピアノ → テディ・コティックベース → マックス・ローチドラムに“鳴かせている”。平常心を身に着けた大巨人の圧倒的存在感! そう。「バード」は鳥になった後“木鶏”となった!

 読者の皆さんも,2分24秒からのラスト・テーマで「バード」=チャーリー・パーカーの“木鶏”ぶりを確認していただきたい。

CHARLIE PARKER : Alto Saxophone
HANK JONES : Piano
TEDDY KOTICK : Bass
MAX ROACH : Drums