『SOLO MONK』の7曲目は【I HADN’T ANYONE TILL YOU】(以下【アイ・ハドント・エニワン・ティル・ユー】)。

 初めて【アイ・ハドント・エニワン・ティル・ユー】を聴いた時の印象は「保育園の先生が伴奏するピアノ」。
 セロニアス・モンク大先生が「せーの」と掛け声をかけて,園児にピアノと一緒に歌うようにと促してくれる。大変リズミカルな“伴奏”である。
 イントロの5秒間のフレーズが決定的であるのだが,その後もビュンビュン,ピアノが飛び跳ねていく! 園児たちの楽しい大合唱が聴こえてきそう?

 ただし繰り返し聴き込んでいくと,伴奏は伴奏でもこれは「ただの伴奏ではない」ことに気付かされる。セロニアス・モンクにしては珍しく“大熱演”なのである。
 園児に,自由に,好きなように歌わせておきながらも,確実にジャズピアノが大合唱をリードし,コントロールしている。こんな【アイ・ハドント・エニワン・ティル・ユー】は,聴いたことがない。
 ふと,モンクス・ミュージックこそが世界一,と思わせてくれる“隠れ”名演である。

 あっ,こんな批評になったのは,セロニアス・モンク自身の歌声が録音されているからでしょうね。早くも1分13秒過ぎから,ノイズから浮き出る“鼻歌”が聴こえてきます。
 完全に自分の世界に没入したセロニアス・モンク大先生。ラストでバド・パウエルと化す,2分59秒からの“キメ”がズバリ「キマッターッ」で,超カッコイイ!

 
THELONIOUS MONK : Piano

SOLO MONK-1
Solo Monk
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