『THE COMPOSER OF DESAFINADO, PLAYS』の1曲目は【THE GIRL FROM IPANEMA】(以下【イパネマの娘】)。

 念のため断わっておくが『THE COMPOSER OF DESAFINADO, PLAYS』は,アントニオ・カルロス・ジョビンの「自作自演集」だからと言って,アントニオ・カルロス・ジョビンに演奏家として,つまりピアニストとして,あるいはギタリストとして,ジャズメン並みの演奏を求めてはならない。

 アントニ・カルロス・ジョビンの演奏は総じて「伴奏」である。メロディ・ラインに“酔いしれる”べきであって,アントニ・カルロス・ジョビンの演奏にアドリブを期待してはならない。
 極論を言えば,アドリブはメロディ・ラインをいかに“崩すか”であるのだから,アドリブアントニ・カルロス・ジョビンの敵?なのである。

 さて【イパネマの娘】であるが,このアントニ・カルロス・ジョビン自演のトラックは『ゲッツ/ジルベルト』で有名な【イパネマの娘】の魅了を大いに補完してくれる。

 『THE COMPOSER OF DESAFINADO, PLAYS』でのリード・ヴォーカルは,レオ・ライトフルートである。
 「ピー,ヒャラピー♪」と鳴る,ピアノとのユニゾン主旋律は,ずっとヴォーカルを真似できないゆえの「特別なフルート・バージョン」だと思っていたのだが,ふと『ゲッツ/ジルベルト』の【イパネマの娘】を聴いて見つけた新発見!

 あった! 3分47秒から4分16秒までが“隠れ”メイン・テーマだったとは…。
 【イパネマの娘】は実に奥深い。『THE COMPOSER OF DESAFINADO, PLAYS』は実に奥深い。

 
ANTONIO CARLOS JOBIM : Piano, Guitar
CLAUS OGERMAN : Orchestra Arrangement, Conductor
JIMMY CLEAVELAND : Trombone
LEO WRIGHT : Flute

THE COMPOSER OF DESAFINADO, PLAYS-1
イパネマの娘
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