『LACH DOCH MAL』の7曲目は【ONE STEP UP】(以下【ワン・ステップ・アップ】)。

 【ワン・ステップ・アップ】は,とにかく凄い,大迫力! このトラックは“低音をブイブイ吹かせて”フェンダー・ローズを乗りこなす山中千尋の“峠越え”!
 急カーブがこようとも,減速せずに攻めまくる! そうとしか【ワン・ステップ・アップ】を批評する言葉が見つからない。

 リズム・チェンジを多用したコード進行をベースに,リズミックなフェンダー・ローズが“大爆発”。あえて歪ませた音色が“ブルージー”を演出している。そう。この熱気は,紛れもない“ハード・バップ”である。
 56秒からの山中千尋アドリブは一人二役。ピアニスト&ホーン奏者と化している。この音域はバリトン・サックスである。重低音がウーハーづたいに“うねっている”。

 ラリー・グレナディアベースジェフ・バラードドラムもお見事! 「跳ね馬」=フェラーリを乗りこなす「じゃじゃ馬・ちーたん」をジャズという囲いの中に収めることができたのは,名手2人のジャズ・ワークの賜物による。
 特にジェフ・バラードの緩急の利いたドラミングが,どこか遠くへイッテシマッタ? 山中千尋に代わって【ワン・ステップ・アップ】の主旋律を奏でている。素晴らしい。

 
CHIHIRO YAMANAKA : Piano
LARRY GRENADIER : Bass
JEFF BALLARD : Drums

LACH DOCH MAL-1
LACH DOCH MAL
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