AMERICAN COMPOSER-1 管理人は,好きなジャズメンを“徹底的に掘る”のが好きだ。読者の皆さんが,管理人と同じ“コレクター”であるならば,その醍醐味については説明不要であろう。
 ただしこれがエスカレートしてくると,集める楽しさを通り越し「全部集めないと気が済まない」といった“脅迫観念”に襲われるのでほどほどに…。

 さて,そんな“コレクター”気質をお持ちの読者の皆さんなら,リーダー・アルバムを完全制覇 → サイドメンもの → 映像ものへとシフトしていくはず?
 さらにもっと症状が悪化すると,ジャズメンの生い立ちなど,音楽以外のバックボーンをも追い続けることとなる。
 本末転倒OKじゃないですか。それでこそ,一人前のジャズ・マニア!? いえいえ。「大人の」ジャズ・マニアは,純粋に音楽,アドリブだけを聴き続ける。この本末転倒は,さなぎから成虫への脱皮,大人への登竜門なのである。

 と,のっけから高飛車トークで「ドン引き」させたかもしれませんが,これは管理人の実体験。自戒の念が込められています。
 実話。管理人が脱線したジャズメンの一人がセロニアス・モンク! 「モンクス・ミュージック」の真髄に接せねば,とDVDAMERICAN COMPOSER』(以下『セロニアス・モンクの肖像』)を愛聴したものだった。

 『セロニアス・モンクの肖像』は,独創的な「モンクス・ミュージック」の魅力を克明に捉えた音楽ドキュメンタリー!
 セロニアス・モンクの音楽ルーツを,身近な友人たちのインタビューを交え紐解いていく。

 特にピアニスト仲間のランディ・ウエストンバリー・ハリス,プロデューサーのオリン・キープニュース,息子のセロニアス・モンク・ジュニアによる“証言”が興味深い。重みがある。
 勿論,動くセロニアス・モンクも拝めるし,オフィシャルものとしては“本邦初登場”バド・パウエルの“お宝映像”も収録されている。正真正銘,モンク・ファン“必携”のDVDである。

AMERICAN COMPOSER-2 やはりセロニアス・モンクは苦闘していた。売れない“日陰の時代”が長かった。世間がやっとモンクの感性に追いつき“陽の当たる場所”に立てるようになった。
 しかしその瞬間モンクは先を走っている。モンクの中で広がるギャップ~ますます悪化する演奏環境~ついに絶望に耐えきれず引退。なんという損失。

 『セロニアス・モンクの肖像』は,セロニアス・モンクの絶頂期には余り触れていない。そう。「モンクス・ミュージック」は,不遇時代に確立されたジャズ! 若き下積み時代に充満する,創造のためのエネルギー! 誰も真似できない,誰も到達できない孤高のジャズ・ピアノ・スタイルは,一人自宅の練習中に誕生したのである。

 「モンクス・ミュージック」に近づきたければ“急がば回れ”! CDを10回聴き込むよりも,DVDセロニアス・モンクの肖像』を一聴した方が理解が深まる。これも管理人の実体験である。

(コロンビア/COLUMBIA 1999年発売/COBY-90057)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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