2005年08月24日

アート・ファーマー / おもいでの夏5

アナログレコード

 管理人は,頑固に“この道一筋”職人気質のジャズメンが好きなのであるが,マルチな才能溢れるジャズメンにとって,本職以外の楽器にチャレンジしたくなるのも当然であろう。
 ピアニストギタリストならアコースティックエレクトリック。ホーン奏者なら二刀流,例えば,木管奏者であれば,アルト・サックスソプラノ・サックスアルト・サックスフルートテナー・サックスソプラノ・サックスといったパターン。金管奏者ならトランペットコルネットトランペットフリューゲル・ホーン,と相場は決まっている。

 楽器を持ち替えたとしても,そのジャズメン特有のクセ,特徴までは変わらない。音色の変化が表現の幅を広げてくれるに過ぎない。そう。本質的には常に同じはずなのである。
 しかし,稀に楽器の持ち替えが“劇薬”になる場合がある。本職の楽器では決して見せない一面を“ここぞ”とばかりに,露わにする。要は持ち替えた楽器の方が,そのジャズメンの個性=本質に“ハマっている”のである。

 その代表格が“叙情派”トランペッターアート・ファーマー奏でるフリューゲル・ホーンであろう。
 アート・ファーマーと言えば,ご存知,ハード・バッパー! ただしクリフォード・ブラウン流の“ストレートな”熱演タイプではなく,マイルス・デイビス流の“抑制された”熱演タイプ。
 以前に何かの文献で,素の彼も内省的で気が弱かった,と読んだ記憶があるのだが,アドリブにおける語り口からして“叙情派”トランペッターと言うキャッチ・フレーズは伊達ではない。

 そんな“叙情派”の本領発揮がフリューゲル・ホーン! フリューゲル・ホーンは,幾分暗めで,輪郭がぼやけた?抽象的な音色。そう。バラードとの相性がチリバツな,甘く・切なく・悲しく響く。全てがまろやかで柔らかく,朴訥にささやくような楽器,と書くと大袈裟?
 “いぶし銀”トランペッターであるアート・ファーマーの個性を引き出すために,フリューゲル・ホーンが存在するのか,はたまたフリューゲル・ホーンの個性を引き出すためにアート・ファーマーが必要なのか,これはもう「コロンブスの卵」!
 とにかく管理人の中では,アート・ファーマーと言えば,トランペッターではなくフリューゲル・ホーン・プレイヤーなのである。

 『THE SUMMER KNOWS』(以下『おもいでの夏』)は,フリューゲル・ホーン・プレイヤーとしてのアート・ファーマーに焦点を当てた,全曲,フリューゲルによるワン・ホーンCD
 このメンバーに,この選曲! 悪かろうはずがない。この“お膳立て”を受けたアート・ファーマーも,期待通りの名演で応える。正に完成された“耽美の世界”である。

 バラードとの相性の良さについて先述したので,『おもいでの夏』は全編バラード,とお思いかもしれないが,バラードは6曲中3曲である。
 しかしこれぞ選曲の妙! バラードが“秀逸”なのは当然としてバラード以外の3曲の完璧な名演が,かえってフリューゲル・ホーンバラードではなく,フリューゲル・ホーンアート・ファーマーを強く印象付けている。
 そう。『おもいでの夏』には“いぶし銀”アート・ファーマーの“叙情性”が色濃く記録されている。ハード・バップトランペッターとしてのアート・ファーマーしか知らないジャズ・ファンに一聴をお奨めしたい。

(1976年録音/PHCE-2041)

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1. おもいでの夏  [ 1-kakaku.com ]   2007年06月02日 20:46
ハーマン・ローチャーの自叙伝的ストーリー。少年が大人に成長していく過程を描く。ハーミー(ゲイリー・グライムズ)と親友のオスカー(ジェリー・ハウザー)とベンジー(オリヴァー・コナント)。若者がやるべきことは全部やった。町をぶらぶらし、アイスクリームを食べ...
この記事へのコメント
1. Posted by 直/来福家:福井市リフォーム住宅会社    2007年04月24日 15:40
来福家の直と申します。
遅くなりましたが、読者登録申請をいただき、ありがとうございました。
早速登録をさせていただきました。
ミュージック関係のブログなんですね。
今後ともよろしくお願いします。
2. Posted by セラビー    2007年04月24日 16:06
石橋さん,コメントありがとうございました♪
JAZZ/FUSIONの名盤をお探しの際には,また当ブログにお立ち寄りくださいね。
3. Posted by BLUE LIFE    2007年04月24日 19:35
数年前?に惜しくも亡くなりましたが、ナマで聴きたかったプレイヤーです。
4. Posted by セラビー    2007年04月24日 20:13
BLUE LIFEさん,コメントありがとうございます♪
私も同感です。アート・ファーマーの生フリューゲル・ホーン聴きたかった! CDで我慢の毎日です。
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