『STUDY IN BROWN』の2曲目は【JACQUI】(以下【ジャキー】)。


 【ジャキー】は,リズムが目まぐるしく変化する,ユニークな構成の“ワンプレート物”。専門的には12小節のサビが目新しい出来であったが,堅い話は抜きにして,音の変化にジックリと耳を這わせてみてほしい。

 全体の舵取り役は,ピアノリッチー・パウエル! テーマの締めにおける“ズッコケ”感が最高だし,バッキングでは実権を握る者だけが“加減できる”心地良い刺激が添えられている。
 2分55秒からのアドリブには,兄貴譲りの“ソロイスト”としての貫禄さえ漂っている。

 例の「悲劇の自動車事故」を語る時,忘れてならないのが,同乗者=リッチー・パウエルの死である。「クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット」を“最強コンボ”へと仕立て上げたのは,何を隠そう,最年少メンバーのリッチー・パウエルなのだから…。

 「クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット」のリーダーは,クリフォード・ブラウンマックス・ローチの“双頭”に違いないが,クリフォード・ブラウンマックス・ローチが円滑に共存するためには,間を取り持つ,潤滑油やショック・アブソーバーの存在が必要不可欠である。
 このクッション役は単に人柄が良いだけでは務まらない。リッチー・パウエルジャズメンとしての“資質の高さ”を,二人のジャズ・ジャイアントが認めたからこそ,務まったのだ。
 言わばリッチー・パウエルは「クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテット」の音楽監督であろう。

 4分49秒からのハーモニーでのエンディングに“早熟の音楽監督”リッチー・パウエルの仕事ぶりが表われている。

CLIFFORD BROWN=MAX ROACH QUINTET
CLIFFORD BROWN : Trumpet
MAX ROACH : Drums
HAROLD LAND : Tenor Saxophone
GEORGE MORROW : Bass
RICHIE POWELL : Piano