『SOPRANO SAX』の3曲目は【WRAP YOUR TROUBLES IN DREAMS( AND DREAM YOUR TROUBLES AWAY )】(以下【苦しみを夢に隠して】)。

 【苦しみを夢に隠して】は,ノリノリのスインギー。タイトルの“苦しみ”とはどこへやら? やはりズート・シムズの本性は隠せない。“夢”に向かって突っ走る,圧倒的パワーで満ちている。
 こうも明るく前向きで元気モリモリ(←古い)の要因は,ズート・シムズが自分のプレイに専念できる,充実のサイドメンたちの力演にある。

 “円熟の”リズム・セクションはズート・シムズとの共演歴も長いので,互いに手の内を知り尽くしているかのような独特の一体感がある。ズート・シムズの激しい振幅の変化に,敏感に,しなやかに反応している。
 名うてのスインガーが,これで「ノラナきゃウソ」である! で,見事に“飛び跳ねた”ズート・シムズの“一丁”出来上がり!

 しかし何度聴いても,このソプラノ・サックスはいい! 他に類を見ないプレーヤーとの“相性”の良さを感じる。この独特の味わいは,例の何分何秒批評では伝わらないと思う。
 【苦しみを夢に隠して】は一曲通して聴いてほしい。聴き終わった後で“ジワジワと効いてくる”あの何とも表現し難い満足感? いや,これは中毒症状?

 読者の皆さんにも,これら“B級ジャズ”以外では決して手に入れることができない,真のジャズ好きだけに許された“至福の世界”を一度体験していただきたい。

 
ZOOT SIMS : Soprano Sax
RAY BRYANT : Piano
GEORGE MRAZ : Bass
GRADY TATE : Drums

SOPRANO SAX-1
SOPRANO SAX
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