2006年11月05日

ジャック・デジョネット / アース・ウォーク5

アナログレコード

 ドラマーのリーダー・アルバムには如実にその人の個性が出る。そのドラマーの“志”が正しければ,良質のジャズCDに仕上がるものだ。
 「志が正しければ」とは,ドラムが突出した音造りではなく,そのドラマーの好みを反映したリード楽器が前に出る音造りのことを指す。なぜなら,真に称賛されるべきドラミングとは,いつでも「縁の下の力持ち」。自分から“前へ前へと”出るものではなく,他人から背中を押された時に“スパーク”する位がちょうど良い,と思っている。

 えっ? リーダー・アルバムなのだから,自分から前に出なくてどうする? という声が反論として聞こえてきそうであるが,心配ご無用! GOODなドラマーなら“プッシュ”されなくとも,勝手に耳がリズムを追いかけるものなのである。
 要は音楽の構成力とドラムの力関係である。このバランスを取れないドラマーは管理人の好みではない。

 そんな管理人好みのドラマーが,ジャック・デジョネット! ジャック・デジョネットの“素晴らしき”経歴について書くとすれば,幾らページがあっても足りなくなる。あのマイルス・デイビスビル・エヴァンスキース・ジャレットのレギュラー・ドラマーを務めあげた,と言う事実だけで十分であろう。真にグレートな指折りのジャズドラマーである。

 さて,近年はセッションドラマーとしての活動が多いジャック・デジョネットであるが,自分のレギュラー・グループである「スペシャル・エディション」を運営していた。
 「スペシャル・エディション」は,かなり“ぶっ飛んだ”音を出す! “トンガリ系”と表現した方がピッタリな,フリー・ジャズである。
 しかし印象としては“そこはかとなく”温かい! 最新テクノロジー化された“手作りの”音が聴こえてくる。

 「スペシャル・エディション」と似た,ドラマーのレギュラー・コンボに,アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズがあるが,両者の音楽的性質は全く異なっている。
 アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズが,音楽監督を設けて,ひたすら自分のドラミングに集中するアート・ブレイキーを聴き所とするのに対して「スペシャル・エディション」は,完全なるジャック・デジョネットのセルフ・プロデュース!
 ジャズメン=ジャック・デジョネットの全てが,ベースギターキーボード,フロントの2管サックスからも感じ取れる。そう。ジャック・デジョネットは,素晴らしいセンスの“音楽家”なのである。

 『EARTH WALK』(以下『アース・ウォーク』)は,ジャック・デジョネット・スペシャル・エディションのこれまでの活動を総括した,グループの象徴的CDである。
 ジャック・デジョネットは,インディアン・ネームを持つことでも知られる,ジャズ界随一の自然児。『アース・ウォーク』は,そんなジャック・デジョネットが“大地の音=アース・ビート”を表現するために作った“コンセプト・アルバム”であろう。
 このスケールの大きな音世界こそ,ジャック・デジョネットの狙いであった! ジャック・デジョネットが造り出す“繊細かつダイナミック”なリズムに乗って,実にカラフルでエモーショナルなフロントが出入りする。いい!

 新加入のマイケル・ケインが大活躍! マイケル・ケインキーボードが,リズム隊もフロント陣をも好サポート。決定的音造りの最重要プレーヤーである。
 ゲイリー・トーマスグレッグ・オズビーサックスの絡みが“相当キテイル”。「スペシャル・エディション」での演奏が気に入って2人のソロCDも後に追いかけてみたが『アース・ウォーク』での“絡み”が一番良い。ただただ熱い!
 ここは余計な言葉は省くことにしよう。ストレートに,この“スゴイ”演奏“圧巻”のプレイを,読者の皆さんにも是非聴いていただきたい。

 最後に『アース・ウォーク』の楽しみ方をレクチャーしておく。できれば頭の中をカラッポにして,真剣に音と向き合ってほしい。グイグイとリズムに引っ張られてゆくはずだ。聴き終えた後には“無の境地”を感じさせてくれる。
 悲しくも,うれしくもないのに,ただただ泣けてくる。“心の琴線に触れる”ジャズとは,管理人にとって『アース・ウォーク』のことなのである。

(1991年録音/TOCJ-5539)

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この記事へのコメント
1. Posted by せいせい    2006年12月11日 01:04
私もフロントの邪魔をしない、ドラムが好きです。だからこそフロントの音が際立つんでしょうね。ほんと、ドラムって縁の下の力持ちですよね。このCD初めて知りました。今度聴いてみたいです。
確かにアートブレイキーがリーダーのアルバムは結構ドラムが前に前に出てますね。でもやっぱりブレイキーも大好きです。
2. Posted by セラビー    2006年12月11日 01:58
せいせいさん,コメントありがとうございます♪
誤解があったのかな? 私もアート・ブレイキーは大好きなんですよ。聴けば聴く程“偉大さ”を感じます。ジャック・デジョネットとは同じ土俵で比較できない,別世界の一流ドラマーです。
3. Posted by トーイックマン    2006年12月11日 04:24
はじめまして!
【TOEIC@徹底攻略】管理人トーイックマンと申します。

とてもいいブログですね♪
またちょこちょこお邪魔して
参考にさせていただきますね^^

読者登録よろしければお願いいたします。
4. Posted by セラビー    2006年12月11日 07:00
トーイックマンさん,コメントありがとうございました♪
JAZZ/FUSIONの名盤をお探しの際には,また当ブログにお立ち寄りくださいね。
5. Posted by BLUE LIFE    2006年12月11日 14:43
メンバー見たら、かなりトンがったサウンドかな〜って思いってしまいます。
6. Posted by セラビー    2006年12月11日 15:52
BLUE LIFEさん,コメントありがとうございます♪
トンガッテいますが,難解ではなく“分かりやすい”フリー・テイストがGOODです。
7. Posted by 風林火山    2006年12月12日 18:06
はじめまして
コメントありがとうございました。

綺麗なよいブログですね。
僕も30年ぐらい前は、フュージョンよく聞いていました。

日本人では 大村憲司 渡辺香津美、プリズム、秋山一正(字忘れました)カシオペアなど 
外人では、ラリーカールトン・ジョージベンソンとか聞いてました。
ギターが好きでほとんどそっちばかりでしたが
今はウェスをよく聞きますね。
あのオクターブ奏法はハッキリ言って
神業です。親指のダウンストロークだけで、普通あそこまで弾けないでしょう。
又来ます
8. Posted by セラビー    2006年12月12日 19:03
風林火山さん,コメントありがとうございました♪
30年前のフュージョンとは大先輩でしたね。結論としてウェスを選ぶとは,さすがです。ウェスは聴き慣れる程,ハマリますよね。
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