FIRST DECADE-1 近年のJ−ジャズ界におけるタレントの充実ぶりには目を見張るものがあるが,ジャズ・ピアニスト小曽根真こそ,J−ジャズ界のオピニオン・リーダー! “世界の小曽根”の称号で呼ばれるインテリジェンスな“ジャズ・エリート”が彼である。

 事実,小曽根真は,J−ジャズメン史上初のアメリカCBS・アーティスト〜ヴァーヴのインターナショナル・アーティストなのだから,当の昔に“世界の小曽根”だったわけだが,真に“世界の小曽根”として羽ばたいたのは,NYを拠点に全世界を駆け回るようになった99年以降のことだろう。日本国内のジャズ賞を総なめした「ザ・トリオ」は,ジャズの本場NYを見渡しても“頭一つ抜け出た”存在であった。

 「ザ・トリオ」は,小曽根真のオリジナル曲を演奏するピアノ・トリオである。
 そう。小曽根真は“トータル・ミュージシャン”。自分の頭で鳴り続ける音楽を「譜面に書きピアノで表現する」ジャズメンなのである。事実,小曽根真には,ピアノ・ソロの金字塔=『ブレイクアウト』が証しする“自己完結型”の才能を持つ。
 ジャズ・ピアニストとしての小曽根真も“ピーターソン派”と称されるだけあって“綺麗なドライブ”テクニックは折紙付き。バークリー首席卒業の“男性ピアニストらしからぬ”繊細で柔らかなタッチは超一流である。そう。『トレジャー』でゲイリー・バートンが証ししたように,小曽根真チック・コリアキース・ジャレットハービー・ハンコックらと肩を並べる,世界でも指折りのジャズ・ピアニストに違いない。

 裏方としても前に出ても“自己完結の天才”小曽根真が“相性の良さ”で選んだのが「ザ・トリオ」のメンバーである。ドラマークラレンス・ペンベーシストジェームス・ジーナスとは今や「家族同然」と公言している。
 そう。公私共に「以心伝心」の濃密なインタープレイが機能する「ザ・トリオ」が120%“小曽根真の音世界”を表現するかと思いきや…。

FIRST DECADE-2 これだからジャズはやめられない! 小曽根真が“一層深い自己表現”の目的で結成した「ザ・トリオ」は,予想に反して小曽根の“手足”とはならなかった。
 「ザ・トリオ」は「ザ・トリオ」であって,完全に小曽根真の手から“親離れ”した。オリジナルの個性を放っているのだ。

 『FIRST DECADE』(以下『ファースト・ディケイド』)を聴いてほしい。『ファースト・ディケイド』は「ザ・トリオ」10周年のベスト盤。7年もの濃密な時を過ごした「ザ・トリオ」の進化の記録である。
 『ファースト・ディケイド』(10週年)なのに7週年? そう。『ファースト・ディケイド』は,いつもの再編集ベスト盤ではない。「ザ・トリオ」の初代ベーシスト北川潔在籍時の楽曲を,現ベーシストジェームス・ジーナス・バージョンへと“差し替えた”ニュー・アレンジでの新録音が収録されているからだ。

 この新録音3曲にしびれてしまう。やはり年々「ザ・トリオ」のクオリティは上がっていたのだ。メイン・ライター=小曽根真の作曲も,クラレンス・ペンジェームス・ジーナスの特徴を意識したものが増えている。これぞ“小曽根真の音世界”を超えた“「ザ・トリオ」の音世界”である。

 管理人がこう書いて一番喜ぶのは,当の小曽根真本人だと思う。今や“世界の小曽根”が自ら進んで「ザ・トリオ」のサイドメン役を演じているのだ。そう。「ザ・トリオ」が,小曽根真の“ライフワーク”そのものである。

  01. The New Beginning
  02. Bienvenidos al Mundo
  03. Three Wishes
  04. Three the Hard Way
  05. Agua de la Musica
  06. Pandora
  07. La Stanza delle Meraviglie - Andante Scherzando
  08. Draemon no Uta
  09. Carava
  10. The Blue Zone
  11. Where Do We Go From Here?

(ヴァーヴ/VERVE 2006年発売/UCCJ-2051)
(初回プレス限定スペシャル・デジパック仕様[THE TRIOディスコグラフィー付])
(ライナーノーツ/小曽根真,ジェームス・ジーナス,クラレンス・ペン)

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