2006年10月03日

チャーリー・パーカー / ナウズ・ザ・タイム5

アナログレコード

 「弟子から師に入る」。このような“ことわざ”などないのだが,管理人にとってチャーリー・パーカーは“そう呼ばざるを得ない”存在である。

 渡辺貞夫を通してパーカー・フレーズに接していたので“本物のパーカー節”を初めて耳にした時,正直「なんだ,ナベサダじゃん」と思ってしまった。
 その後も大勢の“パーカー派”のアルト・サックスと接してきた。しかし人の第一印象とはそう簡単に変わらないもので“本家”チャーリー・パーカーが,それら“後発”の弟子たちと,どうも“かぶって”聴こえてしまう。
 「ふ〜ん。チャーリー・パーカーか。これだけ大勢のアルト奏者に影響を与えるなんて,大したもんじゃん」。
 先のことわざシリーズで表現するならば「青は藍より出でて藍より青し」とでも思っていたのだろう。完全にチャーリー・パーカーなど過去の人,古臭いと見下していたのである。

 今,思い返すと正に“恐いもの知らず&若気の至り”でありまして…。あ〜恐ろしや。勘違いもはなはだしい。
 ここで全面的に否を認め,自分の良心の“うずき”を抑える意味でも,きっちり謝罪させて頂こうと思います。
 「全世界の“バード”・マニアの皆さま,ひいては全てのジャズ・ファンの皆さま“真打ち”チャーリー・パーカーを軽く見てしまいまして,誠に申し訳ございませんでした」。

 このように,世界の中心で,心の底から謝罪したくなったのは,あるCDとの出会いがあったからだ。
 その,誤った第一印象を見事に覆してくれた“感謝すべき”CDとは,意外や意外,超有名盤の『NOW’S THE TIME』(以下『ナウズ・ザ・タイム』)である。

 意外や意外と述べたのは,実は“バードはサボイ。ヴァーヴは死に体”という世評を鵜呑みにしていたからだ。
 “チャーリー・パーカーはサボイとダイアル”と信じていた管理人は,今はオークションで売り払ってしまい,もう手元にないのだが『チャーリー・パーカー・オン・サボイ』のPC版(サボイの全音源をQUICKTIME化したもの)を,パソコン使用時のBGMとしていつも聴いていた。

 話は逸れるが,管理人のパソコン歴は「MS−DOS3.3」からなので,ハード・ソフト合わせると,もう二百万は優に投資している。あの時代はどんなに投資しても,現在の「ジュークボックス」機能など手に入れようがなかった。今の何とも恵まれた時代のユーザーに,あの時代のジャズ・ファンにとって唯一の選択肢であった『チャーリー・パーカー・オン・サボイ』PC版の有り難みが分かるだろうか? ブツブツ…。
  
 ダイアル盤は聴かなかったので,どちらにしても言い訳としては苦しいのだが,サボイを全曲制覇したことで,すっかりチャーリー・パーカーの“通”気取りでいたのだ。『ナウズ・ザ・タイム』が超有名盤であることは知っておきながら…。

 『ナウズ・ザ・タイム』を手にしたきっかけは,純粋な音楽への関心とは無関係である。興味は“音質”にのみあった。
 そもそもオーディオ・マニアでもある管理人が『チャーリー・パーカー・オン・サボイ』PC版を手にしたのには訳がある。それはチャーリー・パーカーCDは全てがモノラル録音だからである。ぶっちゃけ,音質にこれといった“差”などない。
 しかしどこかのジャズ雑誌に,チャーリー・パーカーの音質についての記事が有り「ヴァーヴが良い」と書かれていた。
 単純に,ただそれだけで“即買い”決定。どうせ買うなら有名盤ということで『ナウズ・ザ・タイム』に行き着いた。

 当然,最初は『ナウズ・ザ・タイム』の音質ばかりに注目していた。あの記事は本当だった。この“抜け”の良さに驚いた。それもそのはず,自宅のオーディオ・セットではなく,PCでパーカーを聴き込んでいたのだから…。
 この音の良さに“つられて”いつしかヘヴィー・ローテーション。ついには“ミイラ取りがミイラになる”。そう。“パーカー中毒”が発症したのである。
 例のことわざシリーズで表現するならば「弟子は師の半芸に至らず」であった。
 このアドリブの“大洪水”を初めて真正面から受け止めてしまった時の“衝撃”と言ったら…。「ショック,ショック,ショック,パーカー・ショ〜ック!」と,シブガキ隊の替え歌を一人で歌っていた記憶がある。

 やはり,どこの世界であっても,ある道を切り開き“草分け”となった人物は素晴らしい! 勿論,その道を模倣・追随し発展させた“師匠越え”の弟子たちも称賛に値するが,パイオニア,クリエーターには敵わない!
 “パーカー派”の師匠,またビ・バップの“創始者”でもあるチャーリー・パーカーが与えた影響は,アルト・サックステナー・サックスにとどまらず,ベースドラムにまで及んでいる。モダン・ジャズ半世紀の歴史を語る上で,絶対に避けて通れない“ジャズ・ジャイアント”なのである。

 そう。「弟子から師に入る」。きっと読者の皆さんも,それと気付くことなく“弟子を通して”チャーリー・パーカーの音楽を“聴かされている”はずなのである。

(1952,1953年録音/UCGU-7034)

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この記事へのコメント
1. Posted by せいせい    2006年10月10日 12:13
これ持ってます。大好きです。
「ナウズ・ザ・タイム」初めてセッションに行った時にやらされ、ハチャメチャな演奏しか出来ず、赤っ恥をかいた曲です(笑)
2. Posted by セラビー    2006年10月10日 13:25
せいせいさん,コメントありがとうございます♪
「ナウズ・ザ・タイム」をセッションするとは…。ハチャメチャでも“赤っ恥”ではありませんよ。それで良かったんですよ。
そのセッション音源ありませんか? メチャ興味あります。
3. Posted by BLUE LIFE    2006年10月10日 22:10
パーカーの音色って、少しくすんだ感じですよね。あ〜!ナマ音を聞いてみたい!
4. Posted by セラビー    2006年10月10日 22:49
BLUE LIFEさん,コメントありがとうございます♪
生パーカーとは永遠にかなわぬ夢ですが,日本ではナベサダや矢野沙織の生音がまだまだ聴けます。
こだわり派のBLUE LIFEさんは満足できないかもしれませんが…。
5. Posted by ネットで稼ぐ極意@maekaz    2006年10月11日 00:03
こんばんは。マエカズです。ご訪問ありがとうございました。

過去に吹奏楽をやっていたのでJAZZはかじった程度ですが、記事をいくつか楽しく読ませていただきました。

育児に落ち着いたらまた楽器に復活したいです。

ランキング( ・∀・)ノシ オウエンシテルヨ♪
6. Posted by セラビー    2006年10月11日 00:56
マエカズさん,コメントありがとうございます♪
うわぁ。早く子供さんを成長させて,楽器・復活をお祝いしたいですねぇ。
でも,今は吹奏楽より子育て命でしょ? 分かってますよ〜だ。頑張ってくださ〜い。息抜きとして,また「アドリブログ」にも遊びに来てくださいね。
7. Posted by マニ山シンジ    2006年10月11日 21:08
5 おひさしぶりです。
JAZZって本当、ドラムンベースがはやった頃、チョロっと聞いてみようかなぁ〜って思ったくらいでしたので、なかなかコメント出来ませんでした。
で、この人って、映画になった人ですよね。(ウル覚え・・・)
映画は見てないけど、CDは買ったような・・・。
チョット、ジャズも良いかなって思いはじめてます。
参考にさせていただきます。
8. Posted by セラビー    2006年10月11日 21:41
マニ山シンジさん,コメントありがとうございます♪
そうです。映画「バード」の“奇行”の主人公です。でも私はまだ見たことないんですよねぇ。ダメですかね。

別に“的外れ”などありませんし,私の読者の皆さんは寛大な方ばかりですから,思ったことはお気軽にコメントしてくださって大丈夫ですよ〜。待ってま〜す。
9. Posted by せいせい    2006年10月12日 00:55
それ以上って・・・セラピーさん!!ずばりあなたは私の実力を過信しているでしょう(笑)
私はアドリブするのに必死で、とてもとても人にお聴かせできるほどのものではないのですよ!!でも下手の横好きだからいいのです(笑)続けます!!

キースジャレット!!良いですね!!大好き♪目指しますよ〜〜(やる気だけは人一倍)
10. Posted by セラビー    2006年10月12日 01:00
せいせいさん,コメントありがとうございます♪
ご謙遜ですか? “下手の横好き”結構じゃないですか。
気分だけでもキース・ジャレットやってくださいね。せいせいさんも,キース好きだったんだ。と〜ってもうれしいです。
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