『BALLADS』の4曲目は【ALL OR NOTHING AT ALL】(以下【オール・オア・ナッシング・アット・オール】)。

 『BALLADS』のCD化にあたり,9曲目【アップ・ゲインスト・ザ・ウォール】の扱いについて議論されたことがある。
 つまり【アップ・ゲインスト・ザ・ウォール】がミディアム・テンポの“ブルース”であるため『BALLADS』に追加収録するのは,是か非か,という議論である。

 しかし管理人に言わせれば,その議論は無意味である。なぜなら“アラビア風”の【オール・オア・ナッシング・アット・オール】が既にオリジナルに含められているからである。

 【アップ・ゲインスト・ザ・ウォール】を外すのなら【オール・オア・ナッシング・アット・オール】も外さねばならないし,当然外すべきである。
 それ位【オール・オア・ナッシング・アット・オール】は『BALLADS』の中で“異彩”を放っている。

 ライナーノーツにもこんな一文がある。「【オール・オア・ナッシング・アット・オール】の出だしで2回程失敗した以外は,ほぼ完璧なセッションだった」。
 やはりこのトラックだけは難曲。さすがのコルトレーン・カルテットでも手こずったらしい。その“傷跡”が録音に表われている。

 ジョン・コルトレーンテナー・サックスが鳴っている間は気にならないが,ジョン・コルトレーンが抜けた瞬間の音がいただけない。“アラビア風”アレンジが原曲とアンマッチ。
 と言うのも,イントロとアウトロでのマッコイ・タイナーエルヴィン・ジョーンズの“黒さ”それも“完全な地黒”が邪魔をしている。

 何も目くじら立てる程でもないのだが『BALLADS』の,この並びで聴かされるのが辛い。今後ご勘弁を…。

 
JOHN COLTRANE : Tenor Saxophone
McCOY TYNER : Piano
JIMMY GARRISON : Bass
ELVIN JONES : Drums

BALLADS-1
Ballads
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION



サムエル記第一13章 サウルは兵士たちを選ぶ
渡辺貞夫 『SELECTED