『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』の3曲目は【KNOCKED OUT THE BOX】(以下【ノックト・アウト・ザ・ボックス】)。

 【ノックト・アウト・ザ・ボックス】は,ブランフォード・マルサリスによる自作曲ではあるが,ブランフォード・マルサリス自身の出番はない。不思議なことに,ただの一度もない。
 まるでブランフォード抜きのブランフォード・マルサリス・カルテット。サビ抜きの“大トロ”がテレンス・ブランチャードなのである。

 そう。【ノックト・アウト・ザ・ボックス】は「ブランフォード・マルサリス・プレゼンツ・テレンス・ブランチャードカルテット」による演奏なのであるる。 ← プロデュースではなくプレゼンツという点がミソ。(ちなみにプロデュースはデルフィーヨ・マルサリス)。

 これはブランフォード・マルサリスが考える,テレンス・ブランチャードの長所を生かしきるためのトラック! ブランフォード・マルサリスが(無論,多くのジャズ・ファンが)聴いてみたいと思うテレンス・ブランチャードがここにいる!
 そう。【ノックト・アウト・ザ・ボックス】は,ブランフォード・マルサリスからジャズ・ファンへの“贈り物”なのである。

 テレンストランペットには,やはり“ポスト・ウイントン・マルサリスはこの男しかいない”と思わせる何かがある。
 特に46秒からラストまでの怒濤のフレージングは,聴き手に息つく暇さえ与えない。惚れ惚れする完成度。素晴らしい。

 加えてジェフ・ワッツドラミングが,これまた素晴らしい。バックからテレンス・ブランチャードトランペットをあおりまくる。他の3人を“置いてけぼり”にする,トランペットドラムの名勝負が楽しめる。

 
BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet

MUSIC FROM MO' BETTER BLUES-1
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