PORTRAIT IN JAZZ-1 『釣りはフナに始まりフナに終わる』。
 フナ釣りは一見簡単そうに思える。実際,初心者でも釣り堀に行けば簡単に楽しめてしまう。しかし,いざ本格的にフナ釣りに取り組むと非常に奥深い。それで釣りの達人たちは様々な釣りを経て,結局はフナ釣りへ原点回帰する…。

 『ジャズエヴァンスに始まりエヴァンスに終わる』。
 そう。ジャズにおけるフナ釣り,それがビル・エヴァンスである。

 ビル・エヴァンスの音は何とも耳あたりがよい! 管理人はこれからジャズに接する人への一枚目として,まずはビル・エヴァンスをお奨めすることにしている(厳密にはその人の好みをヒアリングしてからお奨めしています。自分は違うものを奨められたからと言って怒らないでくださいねっ)。
 ジャズの良さを知る前に,チャーリー・パーカーセロニアス・モンクジョン・コルトレーンオーネット・コールマンなどの爆弾(問題作)と“うかつにも”出会ったが最期,その人はジャズ・アレルギーを覚え,もう二度とジャズの世界へ足を踏み入れようとはしないだろう。何とももったいない。

 それはアレルギーを覚えたその当人が悪いのではない。爆弾を奨めた友人,逆に言えば“ビル・エヴァンスを奨めなかった”その友人の功罪なのだ。とにかくエヴァンス嫌いは少ないので,ベストではなくともベターな選択ではあると思っている。
 
 あれ? 管理人がジャズの一枚目としてビル・エヴァンスを奨めるのは,爆弾を踏ませないための単なる“逃げ”ではなかろうか? いや,断じて違う。ビル・エヴァンスは“攻め”である。

 『ジャズエヴァンスに始まりエヴァンスに終わる』。

 この格言を思い起こしていただきたい。ジャズの初心者から中級者,そして上級者への階段を昇るにつれ,真のジャズ・ファンならば,必ずビル・エヴァンスに戻ってくる! そう。最初の一枚が最後の一枚にも成り得るのだ。

 ビル・エヴァンスの音楽は,ソフトな第一印象とは異なり,フナ釣りのように奥深い。取っつきやすいが上達するのは難しいのである。分かっていたようで,実はおいしいところを聴き逃していた,ということが何度もある。壁にもぶち当たるが力がつけばつく程楽しめる。
 フナ釣りというよりも“大人”になって帰ってくる『鮭の川上り』の例えが適切なのかもしれない…。それがビル・エヴァンスジャズ・ピアノなのである。

PORTRAIT IN JAZZ-2 さて,ビル・エヴァンスの数多くの名盤の中でも“まずは一押し”『PORTRAIT IN JAZZ』(以下『ポートレイト・イン・ジャズ』)を聴いてみてほしい。

 伝え聞くところによると『ポートレイト・イン・ジャズ』で,ビル・エヴァンスはどうしてもソロ名義ではなく「TRIO」名義を名乗りたかったらしい。
 ここにエヴァンス自身の『ポートレイト・イン・ジャズ』への“こだわり”を窺い知ることができよう。『ポートレイト・イン・ジャズ』でのビル・エヴァンストリオこそが「THIS IS THE PIANO TRIO」であるという自負!
 確かに「ピアノベースドラムの三者が対等なインタープレイ」の完成度が抜群に素晴らしい! 聴き込めば聴き込む程“新鮮味”を増してくる名盤である。

 皆さんも『ポートレイト・イン・ジャズ』で,ビル・エヴァンスの耽美な世界へと,ついでジャズの大海原へと旅立ってみてほしい! そして立派な『鮭』となり『エヴァンスジャズの川上り』を!

 「ワンパクでもいい! たくましく育ってほしい!」 by 丸大ハム & セラビー

  01. COME RAIN OR COME SHINE
  02. AUTUMN LEAVES (take 1)
  03. AUTUMN LEAVES (take 2)
  04. WITCHCRAFT
  05. WHEN I FALL IN LOVE
  06. PERI'S SCOPE
  07. WHAT IS THIS THING CALLED LOVE?
  08. SPRING IS HERE
  09. SOMEDAY MY PRINCE WILL COME
  10. BLUE IN GREEN (take 3)
  11. BLUE IN GREEN (take 2)

(リバーサイド/RIVERSIDE 1960年発売/VICJ-23516)
(ライナーノーツ/オリン・キープニュース,粟村政昭)

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