2006年01月14日

エリック・ドルフィー / アット・ザ・ファイブ・スポット Vol.15

アナログレコード

 ジャズは音楽,ジャズは芸術であるのだから,ジャズにおいて“奇抜”という評価はナンセンスだ。しかしナンセンスを承知の上で宣言する。エリック・ドルフィーは奇抜だ!

 これは何もエリック・ドルフィーの為すことやること,その手法,アプローチの仕方についての評価ではない。エリック・ドルフィーのフレーズである。フレーズが“ただものではない”のである。
 初めてエリック・ドルフィーのソロを耳にした時に感じた奇抜さは忘れられない。ほんの数秒で彼独特の世界を構築してしまう。起承転結の読めないアドリブの展開力に,一気に持っていかれてしまった。

 こう書くと,エリック・ドルフィーをフリー・ジャズの旗印とする信奉者に肩入れしているように受け取られかねないので,ここでハッキリと否定しておく。
 エリック・ドルフィージョン・コルトレーンオーネット・コールマンとも共演したし,確かに前衛の影響は受けただろう。しかし管理人に言わせれば,“ハード・バップ”や“モード”の枠内での変化と解釈すべきだ。よってエリック・ドルフィーをフリーと定義するのは反対だ。

 おっと,横路にそれてしまって申し訳ない。とどのつまりエリック・ドルフィーのフレーズは時代を超越した“オンリー・ワン”( by SMAP )だった。
 実際,エリック・ドルフィーの死後,彼を真似した“ドルフィー派”が多数台頭したものだが,ビッグになった“ドルフィー派”を管理人は知らない。そう。エリック・ドルフィーのオリジナリティは真似しようにも真似できないもの,要は“奇抜”なのだ。

 そのエリック・ドルフィーの“奇抜さ”を最高に楽しめるのが『AT THE FIVE SPOT』(以下『アット・ザ・ファイブ・スポット』)シリーズである。このシリーズは正確には4枚の組みCDであるが『アット・ザ・ファイブ・スポット』を名乗るのは『VOL.1』『VOL.2』の2枚である。
 今回は『VOL.1』のCD批評。『VOL.1』には3トラック収められているが,ソロの凄みはもとより,メンバー間のインタープレイとは呼べない“何か”,しかしそうとしか呼びようがない“何か”がスパークして止まらない。この得体の知れない“何か”こそ,モダン・ジャズ史における1つの金字塔だと思う。

 『アット・ザ・ファイブ・スポット VOL.1』は,1・2度聴いてもインパクトを感じるだろうが,真の“凄さ”は数回聴いたぐらいでは分からない。まずはエリック・ドルフィーの“奇抜さ”が耳から抜けるまで聴き込むことだ。
 あるレベルを突き抜けたところに,ジャズ・マニアだけが辿り着く,最高の世界がある。繰り返し聴けば聴くほど“味”が出る,例のアレである。

(1961年録音/VICJ-23511)

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