TO THE STARS TOUR EDITION-1 「チック・コリア・エレクトリック・バンド」が,12年という時空間を越えて,ジャズフュージョン・ファンのもとに舞い戻って来てくれた。
 タイトルはズバリ『TO THE STARS』(以下『トゥ・ザ・スターズ』)! 「チック・コリア・エレクトリック・バンド」の新作にふさわしいタイトルである。

 確かに,キーボードチック・コリアに,ベースジョン・パティトゥッチドラムデイブ・ウェックルサックスエリック・マリエンサルギターフランク・ギャンバレと,5人のオリジナル・メンバーが全員揃った「チック・コリア・エレクトリック・バンド」の再結成は,はったりなしで“2004年最高の話題作”であった。

 う〜ん。残念ながら『トゥ・ザ・スターズ』は文字通り“最高の話題作”止まりかな?
 お〜っと,誤解がないように念押ししておくが,演奏の“質”そのものは最高! 「よくもまあ」という表現がピッタリの,最高のテクニック,ユニゾン,アドリブを披露してくれている。またまた腕を上げている。演奏に対する不満など“微塵”も感じさせない。

 では何が不満なのかと言うと『トゥ・ザ・スターズ』の“完全なるコンセプト・アルバム”仕立てが鼻につく。
 リーダーであるチック・コリアでさえ黒子に徹した「主役不在・オール脇役」風なBGMに聴こえてならないからである。

 チック・コリアのSF作家=L・ロン・ハバード好きは余りにも有名であるが,とりわけ『トゥ・ザ・スターズ』の一番の愛読者を公言している。
 そんなチック・コリアが“話題をかっさらうに決まっている”「チック・コリア・エレクトリック・バンド」再結成のタイミングで(ついにと言うか,念願のと言うか)『トゥ・ザ・スターズ』を勝手に?サントラ化してきたのである。
 『トゥ・ザ・スターズ』のライナーノーツには,ご丁寧にもチック・コリア自身による,本家『トゥ・ザ・スターズ』の解説書まで付いているではないか! この“熱の入れ具合”はただ事ではない。

 このような前置き抜きに一聴しても,すぐにそれと分かる抽象的な音! アルバム全般にチック・コリアのSFイメージが散りばめられている。
 間奏にあたるであろう【PORT VIEW】がその最たる特徴となっている。そういう意味では“狙い通りの大成功”なのであろう。ハマル人にはハマル! そんなアルバムなのだと思う。

 もし読者の皆さんの中に,SF好き,あるいはチック・コリア大好き人間がいるのなら,その人にとって『トゥ・ザ・スターズ』はかなりの“お奨め”なのかもしれない。
 しかしチック・コリアを聴くのが目的ではない,単なる“ジャズフュージョン好き”には…?である。

 ただし「エレクトリック・バンド」の“至福の音”が聴ける! この事実をどう評価するかが肝であろうが,個人的には大満足!
 チック・コリアさまさま。新生「エレクトリック・バンド」の再結成を・あ・り・が・と・う!

 なお『トゥ・ザ・スターズ』には,ボーナスCD付きの『TO THE STARS TOUR EDITION』(以下『トゥ・ザ・スターズ・ツアー・エディション』)なる「後出し」新バージョンが存在する。カモである管理人は即買い直し〜!

 『ツアー・エディション』とは『トゥ・ザ・スターズ』本編のレコーディング前に行なわれた“指慣らし”目的のスタジオ・ライブ音源。
 選ばれた4曲は過去の「エレクトリック・バンド」2曲+「エレクトリック・バンド」2曲からのレパートリーだから『トゥ・ザ・スターズ』のフォロー・ツアーを見据えた“軽めのセッション”気分なのだろうが,これが凄い&もの凄い!

TO THE STARS TOUR EDITION-2 顔合わせで音合わせ的な長尺の演奏は,たっぷりと時間を取り分けた全メンバーのソロ廻しに“悶絶”。リアレンジされた【GOT A MATCH?】と【ETERNAL CHILD】が「エレクトリック・バンド」史上最高の大名演
 【CTA】と【BLUE MILES】に至っては「エレクトリック・バンド」名義のオリジナルとは似ても似つかぬ“豹変ぶり”!

 なんたってエリック・マリエンサルからして大変身してしまっている。ジョン・パティトゥッチデイブ・ウェックルが加入すると,こんな感じに変わるんだ〜。フランク・ギャンバレが大物になって帰ってきたんだな〜。

 管理人の結論。『トゥ・ザ・スターズ・ツアー・エディション批評

 『トゥ・ザ・スターズ』本編は,チック・コリア・ファンのための“コレクターズ・アイテム”であって往年の「エレクトリック・バンド」ファンが買うべきアルバムではない。

 「エレクトリック・バンド」ファンが購入すべきは,断然『ツアー・エディション』!
 管理人は専らボーナスCDばかりを愛聴しています。『ツアー・エディション』は,往年の「エレクトリック・バンド」ファンにとっても「涙もの」の“コレクターズ・アイテム”ですよっ。

  DISC 1
  01. CHECK BLAST
  02. Port View 1
  03. MISTRESS LUCK - A PORTRAIT
  04. MISTRESS LUCK - THE PARTY
  05. Port View 2
  06. JOHNNY'S LANDING
  07. Port View 3
  08. ALAN CORDAY
  09. Port View 4
  10. HOUND OF HEAVEN
  11. Port View 5
  12. THE LONG PASSAGE
  13. Port View 6
  14. JOCELYN - THE COMMANDER
  15. Port View 7
  16. CAPTAIN JOCELYN - A TRIBUTE BY HIS CREW
  17. CAPTAIN JOCELYN - THE PIANIST

  DISC 2 (Bonus CD)
  01. CTA
  02. ETERNAL CHILD
  03. GOT A MATCH?
  04. BLUE MILES

(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 2005年発売/UCCJ-9073)
(ライナーノーツ/チック・コリア,小川隆夫)
(CD2枚組)

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